The previous night of the world revolution5~R.D.~
「宗教の常套句じゃないですか。罪を許す、受け入れる…。馬鹿じゃないですか?そんなことが許されると思ってるんですか」

もし許されると思っているなら、甘っちょろいにもほどがある。

「俺達が何(なに)で飯を食ってると思ってるんですか?神にでもすがらなきゃやっていけない、社会的弱者から搾り取れるだけ搾り取って、利用価値がなくなればドブに捨てる。俺達はそうやって飯を食ってるんですよ」

それが俺達のやり方。

マフィアという組織だ。

弱者から搾取して、それを啜って生きる。

汚かろうが、非人道的だろうが関係ない。

闇の世界に生きるとは、そういうことなのだ。

そしてこいつらも、末端とはいえ『青薔薇連合会』に所属していた以上、知らぬ存ぜぬは通用しない。

お前達は、自分が踏みつけた死体の上で、神に許しを乞うつもりか。

どれだけ面の皮が厚かったら、そんなことが出来るんだ。

それとも、『天の光教』とやらの神様は、死者を踏みにじる行為さえ許してくれるのか。

大層「寛大」な神様じゃないか。

良いか、寛大な神様ってのはな、人間にとって都合の良い神様、ってのと同義だからな。

覚えておくと良い。

「あなたの神が何かは知りませんが、マフィアの掟の前には、神の威光なんてゴミクズ以下なんで」

俺は拳銃を抜き、8人の内の一人に向けた。

彼らの怯えが、頂点に達した。

「あなた方が神に帰依したいなら、方法はただ一つ…。ここで神の名を語りながら死に、殉教者となることです」

それ以外の方法はない。

彼らは相当勇気を出して、ここに来たのだろう。

その勇気と度胸だけは認めてやろう。

黙って逃げたとしても、地の果てまで追われることになるからな。

しかし、それとこれとは話が別。

『青薔薇連合会』を出ることは、許されない。

「…さようなら。憐れな殉教者さん」

躊躇いなく引き金を引こうとした、そのとき。

「待って。ルレイア」

制止の声をあげた者がいた。

…アイズレンシアだった。

「…何です?」

『青薔薇連合会』次期首領たる彼は、組織からの離反がどれほどの重罪か、誰よりもよく知っている。

宗教家になりたいから、なんて馬鹿げた理由で『青薔薇連合会』を抜けようなど、言語道断。

この場にいる誰もが、分かっていることのはずだ。

「この8人は、拘束して地下牢に入れる。尋問は、私と私の部下で行う」

アイズは、はっきりとそう宣言した。

…アイズ。

俺達幹部組の中で、序列は決まっていない。

だが、アシュトーリアさんから直々に、次期首領に指名されているアイズは、実質『青薔薇連合会』のNo.2。

俺でさえ、命じられれば逆らえる相手ではない。

それに、思慮深いアイズのこと。

このような指示を出すのは、彼なりの考えあってのことだろう。

…分かった。次期首領の顔を汚す訳にはいかないな。

「…仕方ないですね。じゃあ、この8人の処遇は、あなたに一任します」

俺は、拳銃を引っ込めた。

アイズの指示だ。殺すなと言われれば、殺さない。

腑に落ちないのは事実だけどな。

「ありがとう。アシュトーリアさんには、私から報告する」

「…アイズ…」

「ごめん。今は聞かないで。いずれ話すから」

…勿体ぶってくれるじゃないか。

だが、アイズなら信用出来る。

この件については、俺はもう手を出さない。

アイズを信じて、任せることにしよう。
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