The previous night of the world revolution5~R.D.~
「ボーカルのルトリアがこの調子で、明日どうするんだよ」

「困ったね…。どうしよう」

「…よし、仕方ない。ベーシュ、いつものベーシュチョップを食らわせて、正気に戻してやれ」

ん?ベーシュチョップ?

「分かった。威力120%で良い?」

ベーシュさんは、何故か手首をぐるぐる回し、指をポキポキ鳴らしていた。

な、なんか…戦いの準備をしてる?

何?何と戦うの?

「いや、お前の120%だとルトリアが即死するから、6分の1くらいにしてやれ」

「分かった。威力調節難しいな…。じゃあ、控えめで行くね」

控えめ、と言ったのに。

ベーシュさんは、何故か数メートルの助走を取り。

陸上部並みの美しいインターバル走で勢いをつけ、踏み切りで華麗にジャンプしたかと思うと、渾身のベーシュさんチョップを、俺の脳天に炸裂させた。

「うばぁぁぁぁぁっ!」

あまりの強烈な衝撃に、俺は目の前がスパークした。

これで、6分の1威力控えめ?

全力120%って何?鉄筋コンクリートとか割るの?

「…正気に戻った?ルトリア」

「は…はれほれふら~…」

反動が…。ベーシュさんチョップの反動が…。

しかし。

「駄目みたい。やっぱり80%くらいの威力は出さないと…」

そう言って、ベーシュさんは再びチョップの姿勢を取った。

ヤバい。死ぬ。

「し、正気です!俺正気ですから!チョップやめて!」

「え、正気なの…?なら良かった」

い、命拾い。

「私のチョップが必要なら、いつでも言ってね」

「ありがとうございます…。いつも助かってます…」

「…チョップされて感謝してる人がいる」

「まぁこいつらは…いつもこんな感じだから…」

いつもの感じで、明日のライブも迎えよう。











…と、思っていたのだが。




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