The previous night of the world revolution5~R.D.~
「そんな顔しなくても、ちゃんと味方してあげますよ。我々も、『天の光教』はいけ好かないんでね」

「…味方してくれるのか?」

きょとん、と首を傾げるオルタンス。

気持ち悪っ。

「えぇ。さっきのは軽い冗談なので」

「そうか」

ルーシッドやリーヴァの顔には、安堵の表情が広がったが。

相変わらず血管の切れやすいアストラエアは、いきり立って声を荒らげた。

「貴様、ふざけるな!ふざけて良い状況ではないだろうが!」

おー怒ってる怒ってる。あーこわ~い。

「見て~ルルシー。年老いたワンコがなんか吠えてますよ~。わんわん!って。躾のなってない犬は嫌ですね~」

「…躾がなってないのはお前だろ…」

え?ルルシー何か言った?

「っ!貴様…!」

ぶちギレたアストラエアが、立ち上がろうとした。

お?やるか?

やるなら受けて立とうと思ったが、その前にアストラエアをオルタンスが止めた。

「やめろ、アストラエア。『青薔薇連合会』を敵に回すな」

「だが…!」

「折角味方してくれると言ってるんだ。機嫌を損ねて良い相手じゃない」

ご自分の立場を、よく分かっているようで。

そういうところは好感が持てるよ。

「こいつらが『味方する』と言っても、その言葉を真に受けて良いのか?『天の光教』と結託して、我々を罠に嵌めようとしている可能性も…」

「勿論その可能性はある。だが、元々『天の光教』が『青薔薇連合会』と組んで敵に回れば、我々は終わりなのだ。彼らが味方してくれると言うなら、それに賭けるしかない」

「…」

これには、アストラエアも何も言えない。

『天の光教』だけなら、帝国騎士団だけでも何とか出来るだろう。

だが、そこに俺達『青薔薇連合会』が加われば。

最早、帝国騎士団に勝ち目はない。

よく分かってるじゃないか。

「…安心して良いですよ。我々はあなた方の味方ですから」

「どうやって信じようか」

「だって俺達、既に『天の光教』に喧嘩売ってますし」

「…!?」

今回は、『シュレディンガーの猫』のときのように、二枚舌を使う必要はない。

心から、帝国騎士団の味方につくと言ってやれる。

だって俺、既にルチカ・ブランシェットと大喧嘩かました後なのだから。
< 162 / 627 >

この作品をシェア

pagetop