The previous night of the world revolution5~R.D.~
きっと、お姉ちゃんも私と一緒に怒ってくれるものと思っていた。

そんな大事なことを妻に黙っているなんて、と。

しかし。

「…まぁ、気持ちが分からなくはないですね」

…え?

「お姉ちゃんは…ルヴィアさんの味方なんですか?」

「そういう訳じゃありません。嘘をつくのは悪いですよ。当然です」

…勿論だ。

ちゃんと、事前に教えておいて欲しかった。

それなのに…。

「私の妹を信用していないのか、と責めたくもなります。でも…」

「…でも?」

「あなたに黙っておきたいという、その気持ちは分かります」

「…どうしてですか?私が信用出来ないから…?」

「いいえ、あなたが大事だからです」

…大事だから?

「誰だって、大事な人に心配をかけたくはないでしょう。言えなかったんですよ、彼は。あなたが大事だから」

「…私が…」

「正直に言えば、きっとあなたは心配したでしょう?彼の身を心配して、夜も眠れなかったでしょう」

「…」

…当たり前だ。

そんな危険な場所に行ってると知っていたら、一晩通して密室にこもって。

ルヴィアさんの身の安全を祈願して、魔法陣の中に立っていたはずだ。

当然お守りだって持たせるし、何なら魔除けのお札を背中にでも貼り付けていたかも。

「心配させたくなかったんですよ、きっと。大好きなあなたに、余計な心配をさせたくなかった」

「でも…私は、心配させて欲しかったです。怖いことも辛いことも不安なことも、一緒に共有して…。あの人に、一人で頑張って欲しくない」

背負えるものが一つでもあるなら、私も一緒に背負いたい。

だって私だって、あの人が一番大事なのだから。

一方的に、お人形みたいに大事にされるだけなんて。

そんなのは嫌だ。

私だってルヴィアさんが大事なんだって、それを忘れて欲しくない。

「全く、仲が良いんだか悪いんだか…。お互いを大事にし過ぎてすれ違うなんて、面白い夫婦ですね、あなた達は」

「…」

…全然、面白くなんてないもん。

「拗ねていないで、きちんと話し合いなさい。あなたは、あなたの気持ちを。分かり合えるはずですよ。あなた達なら」

「お姉ちゃん…」

お姉ちゃんに諭されて、私は、馬鹿みたいに意地を張っていたのが恥ずかしくなった。
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