The previous night of the world revolution5~R.D.~
う…浮気?

浮気?

俺が?

俺、浮気を疑われてるの?

成程、フューニャがこれほど怒っている理由が分かった。

って、納得してる場合じゃないから。

「浮気…してるの?俺…」

身に覚えがなさ過ぎて、むしろこっちが聞きたい。

「知ってるんですよ、私は」

何を?

何をご存知なんですか、フューニャさん。

「俺、浮気の匂い…してる?」

「してます」

そうなんだ。

「どんな…どんな匂い?」

「甘い匂いです」

「…それ、この…ロールケーキの匂いじゃない…?」

「それとは別です」

「そ、そう…」

よく分からないけど…。

俺…浮気の匂いがするらしい。

何度も言うけど、全然、何にも、全く、覚えがない。

フューニャ以外の女性…いや、男性も含めて。

フューニャに疚しいことは、全くしていない。

考えたこともない。

それなのに、フューニャは完全に、浮気を確信している。

俺、どうしたら良いの?

あ、ヤバい。泣きそう。

「私という者がありながら、性懲りもなく浮気とは…。全く救いようがない男です、あなたは」

「ふ、フューニャ…」

「私は心優しい妻なので、言い訳があるなら聞いてあげましょう。何処の誰と逢い引きしたんですか?」

この時点で、俺は気づくべきだった。

もし本当にフューニャが、俺の浮気を確信しているのなら。

俺に聞くまでもなく、フューニャの素晴らしい嗅覚と、占いの才能を用いれば。

何処の誰と逢い引きしたのかなんて、とっくにバレているということを。

だが、フューニャに嫌われた、怒られてる、離婚されるかも、と頭の中パニックになっている俺は。

恥も外聞もなく、ぼろぼろと涙を流しながら、その場に崩れ落ちるしか出来なかった。
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