エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
カンナ <永遠>
 彼のお仕事もひと段落した四月下旬。どちらも命日からは少し遅れてしまったけれど、やっと二人でお墓参りに訪れることができた。
 私のお母さんにはきちんと報告をして、彼のお母さんにも挨拶をさせて頂き、どうかこれからも見守って頂けるようお願いをしてきた。

 そして、今日二人揃って婚姻届を提出した。
 四月二十八日。彼が選んでくれたこの日は、語呂合わせから "よ(4)つ(2)ば(8)" 四つ葉の日という記念日なんだそう。
 私たちを繋いでくれていた四つ葉のクローバー。一生忘れないようにとこの日を選んでくれた気持ちがとても嬉しかった。
 「やっと、この日を迎えられたな...」そう感慨深く呟く彼の手を握る。
 「至らない妻ですが、末長くよろしくお願いします」
 「こちらこそ。もう何があっても、二度と離さないからね」そう強く手を握り返してくれた。
 
 その後車に乗り込むと「一緒に行きたい所がある」と言われ、二十分ほどして止まったのは、誰もが知る有名な五つ星ホテルだった。
 行きたい所って...ここ?柊哉さんの方を見ると、にこっと笑みで返される。
 助手席のドアが開けられ、差し出された彼の手を取って降りると、目の前には煌びやかなエントランス。ロビーに入ると大きなシャンデリアに照らされ、まるで別世界に飛び込んだよう。
 そして手を引かれるままエレベーターに乗り、着いた先は最上階のレストラン...
 「柊哉さん、ここって...」
 「優茉が前に雑誌で見ていたレストラン。俺も一度来てみたかったんだ」
 確かに以前雑誌で見て、夜景が綺麗に見えるレストランなんて素敵だなぁと思った。でも、それを口には出していないはず...。それにもう何ヶ月も前の事なのに、覚えていてくれたんだ...。
 「行こう?優茉」
 レストランに入り案内されたのは、他のテーブル席とは少し離れた所にある個室のようなプライベートな空間。
 「すごい...とっても綺麗」
 東京が一望できそうな高さから見る夜景は、キラキラと宝石のように輝いていて、言葉では表せないほど感動的なもの。ここから二人きりで見ていると、まるでこの世界に私たちしかいないような、そんな錯覚をしてしまうほどだった。
 「綺麗だね、優茉と一緒に見たかったんだ」
 「柊哉さん...ありがとうございます」

 運ばれてくるお料理も、どれも見た目からとても美しく、ナイフやフォークを入れるのを躊躇ってしまうほど。
 こんなに高級なレストランでの食事は初めてで緊張したけれど、ここは二人きりだから大丈夫と微笑んでくれた。
 そんな彼の所作は完璧でとてもスマート。こんな素敵な人が私の旦那さんに...と思わず見惚れてしまった。
 「どうしたの?お腹いっぱい?」
 「あ、はい。どれもとっても美味しかったです」
 「よかった、優茉もたくさん食べられたね。でも、もう一品あるから待っていて」
 夜景を眺めながら話をしていると最後の一品が運ばれ、テーブルの真ん中に置かれたのはピンクをベースとした色とりどりのお花が散りばめられたホールケーキ。
 そして中央のプレートには"Happy birthday"の文字...
 「優茉、遅くなってしまったけど誕生日おめでとう。一緒にお祝いできなくて...本当にごめん。これも、本当は誕生日に渡したかったんだけど...」
 テーブルに置かれたのは、婚約指輪と同じジュエリーブランドの小さな箱。
 「そんな...ありがとう、ございます...」
 そっと手に取り箱を開けると、中には四葉のクローバーモチーフに私の誕生石であるアクアマリンが嵌め込まれたネックレス。
 「素敵...。とっても、綺麗です」
 「気に入ってもらえた?優茉の誕生石でもあるアクアマリンは、幸せな結婚を象徴する石とも言われているんだ。だから、良かったら着けていて欲しい」
 「柊哉さん...本当に、ありがとうございます。このレストランもとっても嬉しかったのに、こんなに素敵なプレゼントまで...。私、何も用意がなくて...」
 「それは遅くなってしまったけれど誕生日プレゼントだし、このレストランは俺も来てみたかったから。それに、俺は優茉さえそばに居てくれたら他には何も要らないよ。だから、これからもずっと俺のそばにいるって約束して?」
 「はい...もちろんです」
 「ありがとう。優茉、愛してる」
 彼に抱きしめられ、堪えていた涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。
 「私、幸せすぎて...」
 「ふふっ、まだまだだよ?これからは二人で、もっと幸せになろう」
 「はい...」
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