エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
 そして迎えた九月。私たちは、結婚式を挙げるためハワイに来ていた。
 海と空が綺麗に見えるチャペルでの挙式に憧れていた私は、関東でそういう場所がないか探していた。それを知った柊哉さんが「じゃあここはどう?」とハワイの海辺のチャペルが沢山載っているパンフレットを見せてくれた。
 彼の仕事上、海外という選択肢は初めから考えてもいなかったけれど「せっかくだから、ハネムーンも兼ねて行かない?」と提案され周りの協力も得てハワイウェディングが実現した。

 空港に降り立つと、日本とは違う爽やかな暑さとふわっと鼻を掠めるココナッツのような香りで、ハワイに来られた事を実感し胸が高鳴る。
 迎えに指定された場所へ向かうと、そこには真っ白なリムジンが停車している。
 まさか...そう思っていると、運転席から降りてきた男性は「アロハー!」と陽気な挨拶をしながら近づいてきて、「Congratulations!」とプルメリアで作られたレイを私たちにかけてくれた。
 「優茉、乗って?今回の移動は全部この車だよ」
 「...リムジンなんて、初めて見ました」
 「ふふっ、どうぞ?お嬢様」
 そうおどけながら差し出された右手を取って車に乗り込むと、広い車内にはシャンパンが用意されている。なんだか、ドラマや小説の世界みたい...。あまりの非日常感に、ずっと夢の中にいるようなふわふわとした気分だった。
 三十分ほどでワイキキ市内に到着すると、ガイドブックで何度も見た街並みが広がる。
 柊哉さんが予約してくれていたのは、パンフレットの表紙に載っているような誰もが知る有名ホテル。ロビーはラグジュアリーでありながらも、南国の雰囲気を味わえる作りとなっていてとても素敵だった。
 チェックインし案内されたのは、広々としたスイートルーム。そして窓からは、一面に輝く海がどこまでも広がっている。
 「とっても素敵なお部屋...。柊哉さん、ありがとうございます」
 「結婚式もハネムーンも、一生に一度だから。一緒に幸せな思い出にしようね」
 後ろからハグされながら、今この瞬間の幸せに浸り、しばらく窓からの景色を楽しんでいた。
 その後二時間ほど挙式の打ち合わせをし、外に出るとちょうどサンセットが綺麗に見える時間帯になっており、たくさんの人たちが海辺で幻想的な風景を楽しんでいる。私たちも浜辺に近づき、大きなオレンジ色の太陽がゆっくり海へと沈んでいく様を、手を繋いで眺めていた。
 不思議とここでは時間がゆっくりと流れているように感じられ、日々の喧騒とはかけ離れたまさに非日常の空間。日頃の忙しさや小さな悩み事も、全て消し去ってくれるよう。
< 105 / 109 >

この作品をシェア

pagetop