エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
柊哉side
 親友二人とたわいもない話をするこの時間は、心が緩んでほぐれていく。日本に帰ってきてから仕事ばかりしていたせいか、久しぶりにリラックスできた気分だ。
 「そういえば伊織、この前言ってた子はゲットできたのか?」
 「いや、まだそんな感じじゃないよ。なんて言うか...今までのタイプとは違ってどうしたらいいのかわからない。お手上げだよ」
 「珍しいな、お前が苦戦してるなんて。どんな相手もその笑顔とギャップでイチコロじゃないのか?」
 「ははっ、そんな訳ないでしょ。俺は柊哉みたいにカッコよくないし」
 「いやお前の売りは可愛さだろ?まぁ表面だけで、内は策士で腹黒いけどな」
 「はははっ、翔には言われたくないよー」
 俺を挟んでの会話を飲みながら聞いていると、二人の興味はこちらに向いてきた。
 「で?柊哉は?カナダでいい子見つけてきた?」
 「忙しくてそれどころじゃなかったよ」
 「お前もいつまでもそう言ってないで誰か見つけろよ」
 そう言われ、自分の気持ちを整理する意味も込めて、昔のあの話も知っている二人に事の次第を全て打ち明けた。
 「マジで⁈ すげぇ展開だな...。あの時の子と再会したのも驚いたけど、お前がそこまでするなんて...」
 「本当に...すごいよ柊哉!何その恋愛漫画みたいな展開!続きがめちゃくちゃ気になるんだけど!」
 「続きもなにも...俺もここからどうしたらいいか自分でもわからないんだよ」
 「は?そこまで必死に口説いておいてわかんないって...。そんなのやる事は一つだろ?」
 「え?一つって?」
 「柊哉は昔から恋愛には疎かったけど、まさか自分の気持ちにも気づいてなかったの?」
 「ずっと忘れられなかった初恋の相手にやっと再会できて、しかも同棲までこぎ着けたんだろ?そんなの、後はお前を好きになってもらう為に全力で攻めるだけだろ」
 「柊哉はもうあの時からその女の子以外ダメだったんだよ!まともな付き合いした事ないじゃん?今まで。やっぱり彼女が運命なんだよ!絶対逃しちゃダメだよ?でも翔みたいに攻めすぎもダメ。ちゃんと駆け引きを楽しまなきゃ」
 「恋愛でも腹黒いな、お前は」
 「腹黒いんじゃなくて、恋愛はお互いの駆け引きだよ!嫉妬も恋のスパイスって言うじゃん?」

 そんな二人の会話を聞いて、俺はようやく確信できた。確かに今までの恋愛で感じた事のないあの感覚はきっと、"愛おしい"という言葉で表すのだろう。
 本気で誰かを愛した事がない俺には言葉で表すには難しいが、やはり俺は優茉の事が好きなんだ。伊織の言う通り俺はあの日から彼女に落ちていたのかもしれない。
 いや、きっとそうだ。俺はあの日からずっと彼女を求めていたんだ。たった一人、優茉だけを。
 親友二人のおかげで、モヤモヤしていた心の霧がさっと晴れたような気分だ。
 父親が決めた見合いまで約二ヶ月。この二ヶ月で、なんとしても優茉の気持ちを手に入れたい...。
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