エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
それから、しばらくは忙しい日が続いたけれど、ようやく金曜日を迎え麻美との待ち合わせ場所へ向かった。
「優茉久しぶり!会いたかった〜。今日はじっくり話聞かせてもらうからね!」
「わ、私の事より麻美だよ。本当におめでとう!詳しく聞かせて?」
「ありがとう!でも先に優茉の話!あれからずっと気になってたんだから!」
本当は先生との事は誰にも話さないつもりだったけれど...正直今の状況に自分でも戸惑っているし、なにより誰かに聞いて欲しかった。
「信じられない...あんたがそんな思い切った事してるなんて...。その先生本当に悪い人じゃないよね?何か騙されている訳じゃないよね⁈」
「お見合いを断る為の演技だとは思うけど、騙されている訳じゃないと...」
「でも優茉は好きになっちゃったんでしょ?」
...今まで考えないようにしていた所を、麻美が核心をついてくる。
「...どうなんだろう。純粋に先生の為に何かしてあげたいって気持ちはあるけど...。それに、もし好きになっちゃったら後悔する事は分かっているから考えない様にしてる」
「でもさ、話を聞く限りその先生も優茉の事を好きだと思うけど?そうじゃなきゃわざわざ休みを一日使ったり、誰も見てない家でまでそんな演技しないでしょ?何とも思っていない相手にそんな思わせぶりな事して本気にされたら困る訳だし」
「でも真面目な人だし、そういう雰囲気を作り上げようとしているって事も...。それに、もしも本当の関係になれたとしても、彼は大病院の御曹司なんだよ?私なんかじゃ釣り合わないし、結局最終的な結果は同じだと思う...」
「はぁー。あんたはどうしていつも始める前から終わりを決めつけるの?優茉、前に幸せを感じると怖くなるって言っていたでしょ?私この前雑誌で読んだんだけど、それって幸福恐怖症って言うみたいよ」
「幸福、恐怖症...?」
「そう。優茉はさ、ずっと心の中にお母さんへの罪悪感があるじゃない?自分のせいでって思ってるんでしょ?」
「うん...だって七回忌の時、私を守ったせいでお母さんは亡くなったって親戚の人が話してた。だから、私だけ幸せになるのはいけない事だって思っていたのかも...」
「でもさ、もしも私がお母さんの立場だったら、優茉を守れてよかったって思うけどな。それに、自分がそばに居てあげられない分誰かと幸せになって欲しいってそう願うと思う。だからもうその考えはやめてもいいんじゃない?自分が幸せになる努力をしてみたら?」
「幸せになる、努力...?」
「優茉からアクション起こしてみなよ!あんたは昔から何にもしなくてもモテてたんだから、本気になったらその御曹司先生も優茉に落ちちゃうんじゃないかなー!」
いつもポジティブな麻美には、私にはない考えや感情を教えてもらう事が多い。私からアクションを、か...
家に帰りシャワーを浴びてから、寂しさを誤魔化すように少しだけ照明をつけたまま眠った。
けれど、こういう時に限って悪夢をみてしまい、目を開けると呼吸は乱れ冷や汗をかいていた。こんな時、いつも一人でどうしていたんだろう...先生の温もりを知ってしまった今は、もう思い出せない。
先生に会いたい... ぎゅってして、大丈夫だよって頭を撫でて欲しい...
こんな事、考えちゃいけないのに...そう思うのと同時に、さっき麻美に言われた事も思い出す。
スマホを見ると時刻は午前三時半。二時間ほど前に"おやすみ"とメッセージが来ていた。迷った挙げ句 "当直お疲れさまです"と送ると、"まだ起きてたの?"とすぐに返事が来た。嬉しくてつい"嫌な夢をみて目が覚めてしまって"と送ると今度は着信音が鳴った。
「優茉?大丈夫?」
「...はい、お仕事中なのに電話ありがとうございます。先生の声が、聞きたかったんです。ちょうど、今...」
「...そばに居てあげられなくてごめん。優茉?大丈夫だよ、怖くないから。目、閉じてごらん?」
先生の声がいつもより少し低くてとても優しくて、耳から脳へと響くように伝わる。声を聞いただけで安心するなんて...重症かもしれない。電話を切ってからも、彼の優しい声が頭に残り安心してまた眠る事ができた。
「優茉久しぶり!会いたかった〜。今日はじっくり話聞かせてもらうからね!」
「わ、私の事より麻美だよ。本当におめでとう!詳しく聞かせて?」
「ありがとう!でも先に優茉の話!あれからずっと気になってたんだから!」
本当は先生との事は誰にも話さないつもりだったけれど...正直今の状況に自分でも戸惑っているし、なにより誰かに聞いて欲しかった。
「信じられない...あんたがそんな思い切った事してるなんて...。その先生本当に悪い人じゃないよね?何か騙されている訳じゃないよね⁈」
「お見合いを断る為の演技だとは思うけど、騙されている訳じゃないと...」
「でも優茉は好きになっちゃったんでしょ?」
...今まで考えないようにしていた所を、麻美が核心をついてくる。
「...どうなんだろう。純粋に先生の為に何かしてあげたいって気持ちはあるけど...。それに、もし好きになっちゃったら後悔する事は分かっているから考えない様にしてる」
「でもさ、話を聞く限りその先生も優茉の事を好きだと思うけど?そうじゃなきゃわざわざ休みを一日使ったり、誰も見てない家でまでそんな演技しないでしょ?何とも思っていない相手にそんな思わせぶりな事して本気にされたら困る訳だし」
「でも真面目な人だし、そういう雰囲気を作り上げようとしているって事も...。それに、もしも本当の関係になれたとしても、彼は大病院の御曹司なんだよ?私なんかじゃ釣り合わないし、結局最終的な結果は同じだと思う...」
「はぁー。あんたはどうしていつも始める前から終わりを決めつけるの?優茉、前に幸せを感じると怖くなるって言っていたでしょ?私この前雑誌で読んだんだけど、それって幸福恐怖症って言うみたいよ」
「幸福、恐怖症...?」
「そう。優茉はさ、ずっと心の中にお母さんへの罪悪感があるじゃない?自分のせいでって思ってるんでしょ?」
「うん...だって七回忌の時、私を守ったせいでお母さんは亡くなったって親戚の人が話してた。だから、私だけ幸せになるのはいけない事だって思っていたのかも...」
「でもさ、もしも私がお母さんの立場だったら、優茉を守れてよかったって思うけどな。それに、自分がそばに居てあげられない分誰かと幸せになって欲しいってそう願うと思う。だからもうその考えはやめてもいいんじゃない?自分が幸せになる努力をしてみたら?」
「幸せになる、努力...?」
「優茉からアクション起こしてみなよ!あんたは昔から何にもしなくてもモテてたんだから、本気になったらその御曹司先生も優茉に落ちちゃうんじゃないかなー!」
いつもポジティブな麻美には、私にはない考えや感情を教えてもらう事が多い。私からアクションを、か...
家に帰りシャワーを浴びてから、寂しさを誤魔化すように少しだけ照明をつけたまま眠った。
けれど、こういう時に限って悪夢をみてしまい、目を開けると呼吸は乱れ冷や汗をかいていた。こんな時、いつも一人でどうしていたんだろう...先生の温もりを知ってしまった今は、もう思い出せない。
先生に会いたい... ぎゅってして、大丈夫だよって頭を撫でて欲しい...
こんな事、考えちゃいけないのに...そう思うのと同時に、さっき麻美に言われた事も思い出す。
スマホを見ると時刻は午前三時半。二時間ほど前に"おやすみ"とメッセージが来ていた。迷った挙げ句 "当直お疲れさまです"と送ると、"まだ起きてたの?"とすぐに返事が来た。嬉しくてつい"嫌な夢をみて目が覚めてしまって"と送ると今度は着信音が鳴った。
「優茉?大丈夫?」
「...はい、お仕事中なのに電話ありがとうございます。先生の声が、聞きたかったんです。ちょうど、今...」
「...そばに居てあげられなくてごめん。優茉?大丈夫だよ、怖くないから。目、閉じてごらん?」
先生の声がいつもより少し低くてとても優しくて、耳から脳へと響くように伝わる。声を聞いただけで安心するなんて...重症かもしれない。電話を切ってからも、彼の優しい声が頭に残り安心してまた眠る事ができた。