エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
シオン <追憶>
 時折秋の気配を感じつつも、関東はまだまだ真夏のような暑さが残る九月。
 私はクラークとして働き始めて五ヶ月ほどが経ち、仕事にも慣れ少しずつ周りを見る余裕も出てきたこの頃。
 「今日は珍しく落ち着いているわね。そういえば受付の装飾、秋のお花に変えてくれたのね!患者さんからも好評だったわよ!」
 「まだまだ暑いですけど、気分だけでもと思いまして」
 受付前のカウンターには、私が折り紙で作った季節のお花や小物を飾っている。昔入院していた時、小児科だった事もあり季節ごとに可愛い折り紙が壁一面に飾られていた事、それを見るのか楽しみだった事を思い出し真似をしてみた。
 「そういえば聞いた?来週、香月先生が戻ってくるって」
 「香月先生...?」
 「え⁈優茉ちゃん知らないの⁈三年前カナダに臨床留学されたイケメン御曹司様よ!」
 「...脳外の先生なんですか?」
 「本当に知らないのね...。院長のひとり息子で、二十代の頃から若いのにオペの技術は一流!神の腕を持つって海外でも言われてるみたいだし、おまけに超がつくイケメン!色んな意味でこの病院だけじゃなく有名よ!」
 「そ、そんなにすごい方なんですね...。益々うちの科の患者さん増えそう」
 「患者さんも増えそうだけど、噂だとまだ独身らしいし狙ってる人山ほどいるからエリートイケメン御曹司を巡ってバトルが起きそうね。ふふっ」と天宮さんは、何故か悪さを含んだような笑みを浮かべていた。
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