エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜
柊哉side
 強い意志を秘めた瞳で真っ直ぐに俺を見つめる優茉に、込み上げてくるものを抑えるだけで精一杯だった。
 彼女は残酷な事実を知った今でも、俺を好きだと言ってくれる。ずっと現実から逃げていた俺に対し、優茉は正面から向き合い自分の思いを伝えてくれている。
 俺は...本当に弱くて臆病だな...。自分の情けなさに、言葉も出てこない。
 真っ直ぐに俺を好きだと言ってくれる優茉が愛おしくて、今すぐにでも抱きしめて安心させてやりたい...。
 「でも...」そう言いかけた時「私は柊哉さんとじゃなきゃ幸せになれません!」と彼女の震える声が、シーンと静まり返ったリビングに響いた。
 「これ...クローバーの花言葉、知っていますか?」
 「...え?」
 「クローバー全般の花言葉は"think of me"です。そして四葉のクローバーには"good luck"ともう一つ。それは..."be mine"なんです。私のものに、なってくれますか...?」

 もう...、我慢できない。ぽろっと目から溢れた雫を誤魔化す様に、思い切り彼女を抱きしめる。
 俺はあの日からずっと彼女を想い続け、優茉との再会という幸運に恵まれ、そして優茉のものに...
 「まさに花言葉の通り、だな...」
 「はい...」
 離れていた時間を埋めるように、ぎゅうっと隙間なく強く抱きしめる。お互いの存在を確かめるように背中を撫で合い、どちらからともなく唇を合わせた。
 「優茉、ごめん。愛してる。どんなに忘れようと思っても、やっぱりできない...」
 「私も、です...」
 「俺にそんな資格はないことも分かっているけど...どうしても、この気持ちは変わらないんだ」
 「柊哉さん、二人で幸せになる努力、しませんか...?」
 「幸せになる、努力...」
 「実は...父は知っていたそうなんです。柊哉さんの、こと...」
 「...え?」
 「柊哉さんを一目見て、気がついたと...」
 まさか....優茉のお父さんは、全て分かったうえで俺を受け入れてくれたなんて...。
 「父は、私達の気持ちが変わらないのなら、怖がらずに二人でその道を進んでみなさいと言ってくれました。きっとお母さんも、私が幸せならそれで良いと思っているはずだと。まずは院長にも話をしてみませんか...?」
 「...わかった。俺にも出来る限りの努力をさせてほしい」
 現実から逃げてばかりではいけない。過去の事実は変えられなくても、未来は変えられるかもしれない。まだ可能性があるのなら、どんな事だってしたい。
 優茉の愛が、臆病な俺に前を向く力をくれたから。
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