運命みたいな恋は、ほら!すぐそこに転がっている
「違うでしょ、机にぶつけたんでしょ?」

つい声が大きくなった。
晴斗くんはじっとしているのが苦手で、すぐに動き出してどこかへ走って行こうとする。
そのせいで色々なところにぶつかるのは日常茶飯事だから、小さなケガだって絶えない。
今日だって、お友達とおもちゃの取り合いになって転んだのだ。
本人が元気そうだから様子を見ようかとも思ったけれど、ぶつけた場所が頭でもあり念のために設備の整った病院を受診することにした。

「大体の経過はわかりました。念のためにレントゲンはとった方がいいと思うので、少し順番をお待ちいただくことになります。その間に、他に異常がないかの確認させてください」
「他に?」

なんだか含みを感じて聞き返してしまった。

「お子さんには他にも古い傷や打撲痕がありますし、念のためですから」
「はあ・・・わかりました」

いくら鈍い私でも、先生の言葉から虐待を疑われているのだろう想像はついた。
多少の誤解があるようだなと思いながらも、疲れ果てていた私はそこを突っ込む気にはなれなかった。
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