ソレが出て来る話を聞かないでください
悟志にそう言われて、私は大きく息を吸い込みました。
「ワタシはお姉ちゃんだから、ワタシが双子の面倒をみます。

ワタシのお母さんは心の病気だから、支えてあげます。
ワタシはワタシの名前を知りません。

昔はあったけど、忘れてしまいました。
それからお母さんは首がとても長くなりました。

濁った水も出てきます。
ワタシも双子の兄弟も同じだから大丈夫です。

みんな仲良く揺れています。
だけど少しさみしいな。

自分の名前がないからです。」
一気に最後まで語り終えた瞬間、猛烈な後悔にさいなまれました。

この話はきっとしちゃいけなかった。
誰にも、悟志にも、しちゃいけなかった。

ずっとずっと心の中にしまっておかなきゃいけなかった。
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