ソレが出て来る話を聞かないでください

小野彩音さんは翌日もリモートで話をきかせてくれました。

「先生大丈夫ですか？　顔色が悪いですよ」

画面を見た瞬間小野彩音さんが驚いた声をあげました。
昨日はよく眠ったはずなのに、朝起きても頭はぼーっとして今日は仕事にならなかったんです。

「ちょっと寝不足で」

適当な言い訳をして笑ってみせたんですが、やっぱり笑顔はひきつってしまいました。
この頃になると小野彩音さんとつながってしまったことを後悔しはじめていました。

彼女とつながりがなければ、きっとこんな思いはしなかったのにと。
その反面、早く次の話を聞きたくて仕方なくなってもいました。

それはまるで麻薬のように作者の心に入り込んで離さなかったんです。

「大丈夫ですか？　明日にしましょうか？」

遠慮して通話を切ろうとする小野彩音さんを作者は引き止めました。

「待って！　大丈夫だから、先を聞かせて」

「……わかりました。今日は悟志にあの話をしてしまってからの出来事です」