B4サイズに魔法をつめて
冴島くんも「そうだよ」と、真昼を止めようとしたけれど、本人はケロッとした表情で、
「本当に怖くないから、大丈夫なんです」
と言って、「それよりも」と続けた。



「師匠の漫画を読めなくなるほうが、よっぽど嫌で、よっぽど怖いんです」



「えっ」



真昼はニッコリ笑って、
「行って来ますね」
と、さっさと歩いて行く。



馬場さんがイラついた様子で、
「早く来いよ!!」
と、真昼の制服の襟を掴んだ。



私と冴島くんはじっとなんかしていられなくて、ふたり同時に、
「やめなよ!」
と叫び、真昼のもとへかけ寄った。



冴島くんが教室内に残っている他のクラスメイトに、
「誰か先生を呼んできて」
と声をかけたけれど、誰も何のアクションも起こさない。



それどころか、「何慌ててんの、いつものことじゃん」という声まで聞こえる。



(……そうだ。そうだった……)



ほんの少し前まで。

私も見て見ぬふりをしていたことを、思い出す。
< 95 / 141 >

この作品をシェア

pagetop