鏡映しのマリアージュ
◯昼頃・本部テント
前を素通りしていく来場客達を眺めながらテーブルに頬杖を突く明。

明「意外と暇だな~」
雫「そうだねえ……」

小ぶりなテントの下、用意された長机に2人きりで着く明と雫。暇を持て余す明は、隣に座る雫の元気のない様子を気に留める。

明「雫、なんかあっただろ」
雫「別にいつも通りだよ」
明「誤魔化し厳禁!自覚してねーかもだけど割と顔に出るタイプだからな、雫」

明は不自然に視線を逸らす生気のない雫の顔をぺそりと両手で挟む。

明「俺は馬鹿だけど、話聞くぐらいはできるよ」
雫「……」

そう言ってはにかむ明に凪の優しい笑みが重なる。箍が外れた雫は突然ダバーっと号泣し始める。滝のような涙を両目から流す雫に明は驚愕の色を隠せない。

雫「好きな人に振られたのおおお……」
明「はっえっ好きな人?いたの!?」
雫「いたのおおおおお」

幼い子どものようにわんわん泣く雫を通行人達が不思議そうに眺めていく。明は仰天しながらも羽織ったジャージの袖で雫の涙を拭う。少し落ち着いた様子の雫は一息吐いて口を開く。

雫「結果なんて最初から知ってた。譲ったわけでも手放したわけでもない。けどいざあんな顔されたら…つらい」

壊れそうなほど脆く震えるその身体を明は思わず抱きとめる。(凪には自分から抱きつき、明からは抱きしめられるという対照的な関係値の描写)。俯きがちになっていた雫の顔が明の肩に乗り、上向きになる。切ない表情をしながら無言で背中をさする明の温もりに再度くしゃりと顔を歪める雫。

雫(失恋してしまえば全部忘れられると思ってた。『幼馴染』でいることを選んだら前に進めると思ってた。でも、違った)
雫「失恋するのって難しいんだね……とっくに振られてるのに想いは消えてくれないの。恋心を失くせないの」
明「うん」
雫「敵わぬ恋でも、叶わぬ恋でも、本気で好きだったの……」
明「うん」

◯夜・まつり終了後
片付けを手伝う明は荷物を抱え込みながら唇を真一文字に結ぶ。

明(何の確証もない、ただの勘だけど……もしかしたら雫の好きな人は凪なのかもしれない。そう思うと何故か胸がざわついた)
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