貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
 掴まれということだ、と気が付いておずおずと手を伸ばす。と、彼に手を握られ、ぐいっと引っ張られた。
 勢いあまって彼にぶつかると、しっかりと抱き留められた。
 男性からの初めての抱擁に、百合花は硬直して動けない。心臓が破裂してしまいそうに早鐘を打つ。

「軽いな。ちゃんと食事をとっているのか」
「……はい」

「あら、もうそんな仲なの!?」
 春子の驚いた声が響く。
「誤解だ!」
 迅が慌てて百合花から離れる。

「すみません、私が不調法でして」
 百合花が深々と頭を下げる。赤くなっているだろう顔を見られたくもなかった。

「いいのよ、どうせこの子が怖がらせたんでしょ?」
 ふふ、と春子が笑ってお茶とマドレーヌをテーブルに並べる。

「この子、堅苦しくて怖そうに見えるかもしれないけどいい子なのよ。あなたならわかってくれる気がするわ」
 春子はにっこりと幸せそうな笑みを浮かべた。
 それだけで、百合花の心がほっと和む。

「さあ、座って。お茶の時間は楽しむものと法律で決まっているのよ」
「またいい加減なことを。そんな法律はありません」

「ね、堅苦しいでしょ?」
 笑顔で同意を求められ、百合花は少しだけ笑った。
 ちくちく言われた彼は不満そうに少し口を曲げている。
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