君を思うと、胸がぎゅっと痛くて
1. そばに居たい
春の麗らかな一日。
世界の全ては輝いてた。

そこはいつも二人で遊んでいた、秘密基地で。
全部の始まり。約束の場所だった。
クローバーやたんぽぽ、シロツメクサ。春の草花が一面に咲いていた。

「さゆ。はいっ、これあげる」

「そうくん。ありがとっ」

「さゆのためにつくった! お姫様みたいだ」

そうくんはそっと、私の頭の上にシロツメクサで作った花冠をのせてくれる。

「さゆがお姫様なら、そうくんが王子様だね!」

「いいの……? 僕がさゆの王子様で」

「うんっ! さゆ、そうくんのことがだいすきだもんっ」

「僕もさゆのことが好きだよ」

「じゃあ、私たちずっと一緒だね」

「そうだね。僕たちはずっと一緒だ」

白い2匹の蝶々が私たちのまわりをクルクル回っていて、まるで私たちのことをお祝いしてくれてるみたいだった。

「さゆ、約束して。どれだけ時間が経っても、忘れないで。僕がいつだって一番さゆが好きなこと」

「うんっ。ねぇねぇ、あっちもっとお花が咲いてるよ」

「さゆの好きな四つ葉のクローバー、探しに行こうか。それで指輪も作ってあげる」

「やったー!!」

私たちは手をつないで2人でどこまでも続く草原を走り出す。
それは、きっと叶わない約束だったのに。
それでも私は真っ直ぐに彼だけを見つめていた。
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