君を思うと、胸がぎゅっと痛くて
車が私の家の前にとまった。

「はる兄、陽菜。心配ばかりかけてごめんね」

「いいよ。さゆちゃんはもう1人の妹みたいなもんだし」

「怒らないの?」

「そりゃあ東条先生のPHS投げた時は怒ろうかと思ったけどさ。僕はまだ医者じゃないし。だから味方でいたいんだよね。陽菜とさゆちゃんの気持ちも解るから」

「ありがとう……」

「ううん。陽菜はさゆが納得できる未来を選んで欲しい」

納得できる未来。
それはどんな未来なのか自分でも分からなくて。
だけど私、このまま寂しく死んでくのは嫌だな。

「少し考えておく。ありがとう」

「いいよ」

じゃあね、とはる兄たちと別れると私は家の中に入る。
玄関には知らない靴が一つあった。
すすけたスニーカー。
あ、と思った。

「さゆ大丈夫?」

リビングから、奏がでてきた。
久しぶりに近くで見た奏はまた背が高くなって、声も低くなってる。

「なんで居るの?」

「おばさんからさゆが病院行ってないって聞いて」

「そう……」

気まずくて早く話を終わらせようと、私は奏の前をとおりすぎてリビングのソファに座る。
すると奏も当たり前みたいに隣に座った。
ちょっと汗臭い、男の子みたいな匂い。
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