君を思うと、胸がぎゅっと痛くて
3. あと数センチ
それからも雨が降りやまない日が続いた。
校庭に咲くアジサイが青とピンクに色付いて、かわいいなって。
私は雨の日も好き。
だけど、やっぱり陽菜はかなり調子悪そうだった。
一緒に下校してるけど、歩くのがゆっくりであんまり喋らない。

「陽菜、大丈夫?」

「うん……」

「またはる兄に迎えに来てもらう?」

「いい。お兄ちゃん、今日は、大学だから」

「じゃあさ、ゆっくり帰ろ。私、いつもの公園でアジサイみたい」

すぐ側にある公園を指さす。

「ありがと……」

「ううん。迷惑かけたくないって気持ち、痛いほどわかるし」

「さゆは優しい。ほんとにさゆが親友でよかった」

「そうだね。私も」

降りしきる雨が私たちを少しだけセンチメンタルにした。
東屋に座って。
雫のたくさんついた傘は閉じて2つ並べて立てかけた。

「……さゆ。陽菜ね、多分大人になるより前に死ぬの」

「うん、私も多分そう」

「だよね、そういうのって分かっちゃうよね」

「分かりたくないけどね。ずっと病院出たり入ったりしてたし」

「ね。だから陽菜は、はる兄が医者になる前に居なくなるかもしれないけど、「ありがとう」ってちゃんと伝えたいって思ってる。さゆも誰に何を伝えるか、決めたらさ。陽菜に教えて」

「分かった。約束する」

「うんっ!」

2人でした指切り。
これは悲しいから伝えないけど、天国に行けたらまた親友になろうね。
陽菜ならきっと絶対に天国だから。

でも、神様に言えるなら言いたい。
どうか、陽菜だけは、こんなにいい子だけは見逃してくださいって。
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