婿入り希望の御曹司様とCool Beautyな彼女の結婚攻防戦〜長女圭衣の誰にも言えない3つの秘密〜花村三姉妹 圭衣と大和の物語
あれから私はアメリカとヨーロッパを転々としながら、西洋人特有の、思ったことをはっきりと口にする癖を自然と身につけていった。一方で、冷静沈着な妹・葉子を見習い、言葉にする前に三呼吸置くという術も、徐々に身につけるようになった。


父さまの会社では、大学在学中からインターンとして経営や交渉術などを学び、実務に触れた。家族の中でも私は長女としての役目を意識し、妹たちが新しい土地に馴染めているか常に目を配るようにもなった。


大学卒業から数年後、当時まだ大学生だった葉子と一緒に、小さなアパレルブランド『Cool Beauty』を立ち上げることができた。拠点はアメリカ。コンセプトは『洗練された中にもある可愛らしさ』。


日本ではその世界観を自然に受け入れてもらえたが、アメリカでは文化の違いもあり、可愛らしさよりも大人の女性らしさが求められることが多かった。そのズレに悩みつつ、いずれ拠点を日本に移すという決意を少しずつ固めていった。


私はやっぱり、可愛いものが好きだ。
その気持ちはずっと変わらない。むしろ、年を重ねるごとに強くなっていった。


そんなある日、日本に一時帰国した際、偶然目にしたピーターズファミリーのドールハウスと小さな人形たちに、一瞬で心を奪われた。気がついた時にはレジに並び、アメリカへ持ち帰っていた。

……けれど、飾る場所がなかった。当時は葉子と同居していたこともあり、見られたくなかった。


覚えてる? 
私は『高身長の巨人女』。
可愛いものは似合わない--あの男の子に言われた言葉が、心の奥にまだ残っていたのだ。


だからピーターズファミリーのドールハウスも人形も、ひとつ残らずトランクルームに預けることにした。誰にも、知られないように。
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