Music of Frontier

sideルクシー

─────…久々にルトリアの姿を見た俺は。

思わず、息を呑んでしまった。

今のルトリアは、俺の知るルトリアではなかった。

俺が知る姿より、一回りも二回りも小さくなっているように見えた。

痩せっぽちで、肌は青白くて、顔色も悪く、目に隈が出来ていた。

その姿は何処からどう見ても病人で、以前の、元気なルトリアしか知らない俺は、目の前の人間が本当に自分の親友なのか疑ってしまったほどだった。

でも、紛れもなくルトリアなのだ。

これが今の…自分の人生に絶望して、かろうじて生き延びた…ルトリアなのだ。

ならば、受け入れない訳にはいかなかった。

それに、最初こそ変わり果てたルトリアに怯えたものだが、すぐにそんな気持ちはなくなった。

とにかく、ルトリアは生きている。生きて、俺の前にいる。

手紙を介してではなく、直接言葉を交わしている。

これ以上大切なことなんてない。

そう、ルトリアがどんな姿になっても構わない。

生きて俺の前にいてくれるのなら、それで良い。

何ヵ月も待たされて、ようやく面会が許されたとはいえ、会えたのはエインリー先生が許可した五分だけだった。

短い時間で、瞬きのように一瞬だったけど…俺は嬉しかった。

ルトリアが生きている姿を、この目で見ることが出来たから。

それだけで満足だった。

これでルトリアが回復する、元気になるなんて甘いことを考えている訳じゃない。

ルトリアが元気になるまで、きっとこれから、まだまだ時間がかかるだろう。

いくら時間がかかっても構わない。

俺は待ち続ける。ルトリアの傍で、彼を支える。

いつかまた…元気を取り戻してくれる日まで。

何度も誓ったことを、俺はその日、改めて再確認した。
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