Music of Frontier
ゴスロリ服を見つめながら、四人でしばらくボーッとしていたが。

「…皆、どうしたの?着替えないの?」

早々とゴスロリワンピースにお着替えしたベーシュさんが、首を傾げていた。

…あなた、結局そこで着替えたんですか。

一応俺達後ろ向いてたから、見てないけどさ。

と言うかベーシュさん、あなた。

「めちゃくちゃ似合ってるじゃないですか…」

「そうかな。ありがとう」

服のデザインからして、完全に魔女みたいだけども。

とても可愛い。

「何を考えて…こんな服を持ってきたんですかねぇ…その出資者さんは…」

「え、えぇと…『『frontier』みたいな有名人が着てくれたら、ゴスロリ人口が増えますね♪』と嬉しそうにおっしゃってました…」

「何がゴスロリ人口ですか…。その人、他人にはそうやって変な服着せておいて、どうせ自分は普通の服着てるんでしょう?」

「いえ。男性の方なんですが…ご本人も凄まじいゴスロリでした」

「なら許します」

自分が着た上で、人にも勧めてるなら許す。

しかし何を思ってそんな格好をしているんだか。誰か止めてくれれば良いのに。

「…皆、着ないの?」

こてん、と首を傾げるベーシュさん。

…ベーシュさん。あなたがゴスロリ超似合うのは大変素晴らしいことなんだけど。

男と女じゃ、ゴスロリへのハードルの高さは段違いなんだよ。

けれども、文句を言っていても始まらない。

「仕方ない。なら…着ますか」

「…そうだな。今の俺達はマネキンだ。拒否権はない」

「マジかよ…。コスプレじゃん」

「我慢しよう。少しの辛抱だ」

でも、これが写真集に乗ると、一生モノになるんだよね。

そう思うと…まだ発売もしてないのに、既に黒歴史と化しているような気がする。
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