Music of Frontier
「え、えっと…。ベーシュさん、酸っぱいものお好きなんですね…?」

「別にそういう訳じゃないけど」

え?そういう訳じゃないの?

じゃあこれはやっぱり…俺への嫌がらせ?

「でも、酸っぱいでしょ?それ」

「えぇ…。人殺せそうなほど酸っぱいですね」

口がもう…おちょぼ口になってるよ。アスタリスクみたいに。「*」って。

「酸っぱいもの飲んでるときは、『酸っぱい!』以外に何も考えられなくなるでしょ?むしろあまりの酸っぱさに、難しいこと考えるのが馬鹿馬鹿しくなってこない?」

「…え?」

「昔、私がちょっと落ち込んでるときに、父がよく作ってくれたの。この酸っぱさの前には、悩むのもアホらしいだろ、って」

「…!」

…まさか、ベーシュさんあなた。

俺を慰めるつもりで…この酸っぱいジュースを?

「…となると、甘過ぎるジュースでも、辛過ぎるジュースでもアリなのか?」

「甘過ぎると糖分が気になるし、辛過ぎるとお腹痛くなるでしょ?苦いと薬飲んでるみたいで嫌だし。だから酸っぱいジュースにしたんだって」

「…成程…」

納得出来るような…出来ないような…出来るような。

「私も今まで、このファルネフレット家の極すっぱジュースで元気を出してきたから。ルトリアも、これで大丈夫だよ」

「…ベーシュさん…」

嫌がらせかと思ったら、まさかの慰めだった。

ファルネフレット家直伝の慰め法。

少々乱暴な気がするし、めちゃくちゃ酸っぱくて正直飲めないのだが…。

でも、ベーシュさんのその気持ちが嬉しかった。
< 358 / 564 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop