Music of Frontier

sideルトリア

─────…ルクシー達が、そんなやり取りをしていたことも知らず。

ルクシーに遅れて、三日後にようやく「とりあえず」解放された俺は、無事にエルフリィ家に戻ってきた。

貴族に戻るつもりはないから、マグノリア家とは一切何のコンタクトも取るつもりはない。

いずれ、向こうから何か言ってくる可能性はあるが…何を言われても、俺はマグノリア家に戻るつもりはなかった。

例え「音楽活動を続けても良いから戻ってきてくれ」と頼まれても嫌だった。

何の躊躇いもなくそう思える自分に、我ながら驚いたくらいだ。

自分で思ってるよりずっと、俺は自分の生まれた家のことが嫌いだったんだな、と。

俺が嫌いなのはマグノリア家ではなく、貴族の利権に固執する醜い両親のような人間なのだと思う。

同じ貴族でも、ルクシーやルクシーのお母さんには、全く敵意は抱かないのだから。

とにかく、ようやく解放されたのだから、明日からはまた『frontier』に戻れる。

そう思うと、心に涼しい風が吹くような気分だった。

今朝、解放されたとき、ルクシーに「今から帰りますね」とメールを入れた。

きっとルクシーも、待っていてくれることだろう。

鼻唄混じりにエルフリィ家に戻ると、そこは大変なことになっていた。





「はっ!ルトリーヌだ!皆の者!ルトリーヌじゃ!ルトリーヌのご帰還じゃ~っ!」

「えっ…?」

「本当だ、ルトリアだ…!見間違いじゃないよね?偽者じゃないよね?」

「ルトリア、良かった…!帰ってきたんだな。心配したぞ」

てっきり、ルクシーが一番に迎えてくれる…と思っていたのだが。

わらわらわら、と俺に駆け寄ってきたのは、エルーシアとベーシュさん、そしてミヤノだった。

な、何故ここに?皆、エルフリィ家で待ってたの?

「お帰り…ルトリア」

「あ…ルクシー…」

後ろから、遅れてルクシーがやって来た。

ルクシーの顔を見ると、張り詰めていた身体から一気に力が抜けてしまった。
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