Music of Frontier
パーティー会場は、とても賑わっていた。

信じられないくらい広くて、そして豪華な調度品があちこちに置いてあった。

天井のシャンデリアが、眩しいくらいに煌々と輝いていた。

パーティーの食事はビュッフェ形式で、好きなように取って好きなように食べれば良いのだろうが。

正直、俺は食欲なんて沸かなかった。

それどころか、とても居心地が悪かった。

このパーティー会場からしても、エルフリィ家にとっては場違いだったから。

やっぱり、成金だ。

俺はそう思った。金持ちが札束ばらまいてるみたいで、不愉快だった。

しかも、この会場にいる人間達。

子供の目から見ても分かるくらい、上等な一張羅に身を包み。

女達は、ギラギラと光るアクセサリーをこれ見よがしに見せびらかしていた。

あれに比べれば、うちの母さんは地味に見えることだろう。

でも俺にとっては、着ている物はそれほど上等ではなくても、母が一番上品に見えた。

金持ちだからって、それを自慢げに見せびらかす奴はいけ好かない。

そう思うのは、俺が貧乏人だからなのだろうか?

金持ちからしたら、俺の言うことは負け犬の遠吠えでしかないのかもしれない。

…あぁ、居心地悪い。

早くもうんざりして、溜め息を必死に堪えていると。

母が、俺にこう声をかけた。

「ルクシー、好きなもの食べてきて良いわよ。母さん、知り合いに挨拶してくるから」

「え」

好きなもの…って。

「でも、頭痛いんじゃないの?ついてなくて大丈夫?」

「えぇ、大丈夫。向こうに、あなたと同じくらいの子供もいるみたいだし、お話ししてきたら?」

「…」

こんなパーティーに参加している子供なんて、間違いなく貴族の…成金の子供だから、あまり話したくはないが。

母は多分、俺に醜い大人達のやり取りを見せたくなかったのだろう。

恐らくこの会場で、一番身分が低いであろうエルフリィ家。

その当主である母は、色々な人に頭を下げ、お世辞を言い、ご機嫌を取らなければならない。

決して楽しいことではないし、むしろ…屈辱的な行為だ。

だから、母は俺にそれを見せまいとしたのだ。
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