Music of Frontier
マグノリア家に着くと、色々と心配していたのが嘘だったように、喜色満面のルレイアに迎えられた。

「ようこそ、ルクシー。本当に来てくれたんですね!来ないかもしれないと思って、心配だったんです」

「…そう…だったのか」

俺は俺で、約束はお世辞だったんじゃないかと心配だったよ。

良かった。本当に待っててくれたんだ。

「さぁ、一緒にテラスに行きましょう。約束通り、プリン用意してるんですよ」

「そうか…。あ、それとこれ、手土産…持ってきたから」

俺は、母に持たされた手土産用の洋菓子を渡した。

「わぁい。何ですか?」

「クッキーとチョコレート」

「素晴らしいチョイスです!あなたさては…天才ですね?」

天才ですね?って。

この間好きだって言ってたから。チョコレート。

プリンにしようかと思ったけど、ルトリアがプリン用意して待ってるって言ってたから、被るかと思って。

とにかく喜んでるみたいだから良かった。

俺はルトリアとテラスに腰掛けて、色んな話をした。

話しながら、色んな種類のプリンを食べた。

決して不味くはない、むしろ美味しかったのだけど…正直、どのプリンも同じような味にしか感じなかった。

素直にそう言うと、ルトリアにいきり立って反駁されたので、もう黙っておくことにする。

プリン好きには分かるらしい。このプリン達の味の違いが。

それはともかく、ルトリアが終始楽しげに 話していたので、俺は満足だった。

甘いもの談義については、俺は素人同然だったが。

相変わらずルトリアと話すのは楽しかった。

今日ここに来て、良かったなぁと思った。

帰るときにはまたしても、「また会いに来てくださいね」と言ってくれた。

一度来ると、二度目からは心も軽い。

俺は躊躇うことなく、大体一月に一回から二回のペースで、ルトリアに会いに行った。

こうやって、二人で友情を深めていった…訳だが。

ルトリア本人にはともかく、ルトリアの親からは俺は好かれていなかった。

それが分かったのは、五度目の訪問のときだった。
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