トップシークレット
この人はあの時のことを知ってるんだ。治まるどころか加速していく鼓動に息が苦しい。なんとか平常心を保とうとしてもフラッシュバックしてくる。鮮明に思い出せる、あの時の事実が消えることなんて一生ない。
「なにが言いたいのかもう分かりました」
「へぇ~。言ってみろよ」
目の前には救えない命があって、わたしの手のひらから次々と零れ落ちてしまう。救えたかもしれない、もっとわたしが……って、何度も何度も自分を責め立てた。あの時だってそう。救いたいって、そう思ってたのに──。
「なにも知らないやつにつべこべ言われる筋合いはない」
わたしは今、どんな表情をしてこの人を睨み付けてるんだろう。
「何も知らねぇのはオメェだろ」
「は?」
「姫野明花梨(ひめのあかり)。覚えてんだろ?」
嫌、やめて──。
「忘れるわけないでしょ」
「あいつ、先月死んだ。しかも自殺」
わたしの瞳の奥底を覗くように顔を近付けて、冷たい目で淡々とそう言い放った担任。そんなことより担任の発した言葉を処理しきれなくて、ただ呆然とするしかない。
「……じ、さつ?」
そしてその言葉を処理したわたしは、瞬時に理解した。その自殺は“わたしのせい”だってことを。
「はぁー。まだ分かんねぇーの?察しが悪いねえ、全く」
わたしが……わたしが姫野さんを……殺したんだ。
「あのっ!!」
ガンッと音を立てて、こっちに向かって来たのは流星くんだった。
「あ?なんだよ。話の途中でしょうが~」
「いやっ、あの……なんつーか、よく知らないっすけどそれ、白浜を責めるのはなんか違う気がするんすけど」
流星くん、ごめん。わたしは人助けをする為に仲間に守ってもらわなきゃいけない最低な女なんだ。