遣らずの雨 下
タツナミソウ
捧げる
『自転車で行けるか?』
少しずつ涼しさを感じ始める10月
いつも定期的にきてくださる顧客様の
植物の配達が近くだった為、忙しい凪に
変わって自転車で届けることにした。
「平気だよ。運動不足だから。
帰りにスーパー寄ってくるね。」
家具の注文が重なり今日までの納期で
バタバタと忙しい凪の役に少しでも
たちたい‥‥
夜遅くまで仕事をして、睡眠が少ない
のも知ってるからこそ、やれることは
やりたいのだ。
『フッ‥‥じゃあお前の唐揚げ
食いたい。』
「うん、分かった。」
伸びてきた手に頭を撫でられると、
誰も居ないのを確認してから凪に
抱きついた。
「じゃあ行ってきます。」
照れ臭くてパッと離れると、クスクスと
笑う声を背に、手を振り坂を自転車で
くだった。
日中は温かいけど、風はすっかり
秋の風になってる‥‥‥
ここで過ごして1年以上経って
しまったんだなと、時間の速さに
色々を思い出す。
「ありがとうございました。
またよろしくお願いします。」
配達を終えてからいつものスーパーに
向かい、凪リクエストの唐揚げ用の
お肉を選びながら、今日は好きなものを
沢山作ってあげたいと思い、色々カゴに
詰め込んだ。
ふぅ‥‥
凪のこと考えてたら、思ったよりも
沢山買いすぎた‥‥
今日で納期が明けるから、明日から
少しはゆっくり出来るといいんだけど‥
今回の無垢の一枚板で作った
オーダーメイドのテーブルも本当に
素敵で、凪が丁寧に作った一点ものだ。
こんな素敵な家具をもっと沢山の人に
知ってもらえたらいいのに‥‥
帰り道を自転車で漕いでいると、
さっきまで良かった天気が少しずつ
崩れ始め、今にも雨が降りそうだった。
最後の坂を登り切り自転車をとめると、
荷物を持って凪の倉庫の家の鍵を
ガチャリと開けた。
‥‥‥居ないってことはまだ工房かな。
今のうちに晩御飯作っておこう。
そしたらすぐに食べられるから。
しとしとと降り始めた雨音が次第に
強まり、倉庫の屋根に落ちる雨粒の音も
大きく、後少し帰りが遅かったら
危なかったなと思いつつもキッチンで
料理を作っていた。
「よし‥‥そろそろ工房に顔出そう
かな。羽鳥さんが仕上がり見に
来るって言ってたし。」
エプロンを外し外に出ると、稀に見る
土砂降りの雨の中を傘をさして工房に
向かった。
『皐月ちゃん、凪いる?』
「羽鳥さん!こんにちは。
凪なら工房にいませんか?」
少しずつ涼しさを感じ始める10月
いつも定期的にきてくださる顧客様の
植物の配達が近くだった為、忙しい凪に
変わって自転車で届けることにした。
「平気だよ。運動不足だから。
帰りにスーパー寄ってくるね。」
家具の注文が重なり今日までの納期で
バタバタと忙しい凪の役に少しでも
たちたい‥‥
夜遅くまで仕事をして、睡眠が少ない
のも知ってるからこそ、やれることは
やりたいのだ。
『フッ‥‥じゃあお前の唐揚げ
食いたい。』
「うん、分かった。」
伸びてきた手に頭を撫でられると、
誰も居ないのを確認してから凪に
抱きついた。
「じゃあ行ってきます。」
照れ臭くてパッと離れると、クスクスと
笑う声を背に、手を振り坂を自転車で
くだった。
日中は温かいけど、風はすっかり
秋の風になってる‥‥‥
ここで過ごして1年以上経って
しまったんだなと、時間の速さに
色々を思い出す。
「ありがとうございました。
またよろしくお願いします。」
配達を終えてからいつものスーパーに
向かい、凪リクエストの唐揚げ用の
お肉を選びながら、今日は好きなものを
沢山作ってあげたいと思い、色々カゴに
詰め込んだ。
ふぅ‥‥
凪のこと考えてたら、思ったよりも
沢山買いすぎた‥‥
今日で納期が明けるから、明日から
少しはゆっくり出来るといいんだけど‥
今回の無垢の一枚板で作った
オーダーメイドのテーブルも本当に
素敵で、凪が丁寧に作った一点ものだ。
こんな素敵な家具をもっと沢山の人に
知ってもらえたらいいのに‥‥
帰り道を自転車で漕いでいると、
さっきまで良かった天気が少しずつ
崩れ始め、今にも雨が降りそうだった。
最後の坂を登り切り自転車をとめると、
荷物を持って凪の倉庫の家の鍵を
ガチャリと開けた。
‥‥‥居ないってことはまだ工房かな。
今のうちに晩御飯作っておこう。
そしたらすぐに食べられるから。
しとしとと降り始めた雨音が次第に
強まり、倉庫の屋根に落ちる雨粒の音も
大きく、後少し帰りが遅かったら
危なかったなと思いつつもキッチンで
料理を作っていた。
「よし‥‥そろそろ工房に顔出そう
かな。羽鳥さんが仕上がり見に
来るって言ってたし。」
エプロンを外し外に出ると、稀に見る
土砂降りの雨の中を傘をさして工房に
向かった。
『皐月ちゃん、凪いる?』
「羽鳥さん!こんにちは。
凪なら工房にいませんか?」