遣らずの雨 下
「‥ッ‥‥‥な‥ぎ‥ッ‥」
眠ったままだと思っていた凪が、ゆっくりと顔だけこちらに向け、私と目が合うと切れ長の瞳が細められ笑ったのだ
『皐月‥‥ここに‥来いよ‥‥』
両目はすでに涙が溢れ、瞳を閉じた瞬間
に両頬に一気にそれが流れ出す
凪が‥‥生きてる‥‥‥
もうそれだけでそれ以上に望む願いは
ないほどに胸がいっぱいなのだ
左手を伸ばす凪に向かって歩き、その手を両手で握りしめると、引き寄せられ
凪の胸にもたれかかった
『泣かせて悪い‥‥‥怖かっただろ。』
トクントクンと鼓動する凪の胸にしがみつき、涙を堪えながらも何度も頷く
怖いなんて言葉じゃ言い表せない‥‥。
それぐらい凪を失う事を考えたく
なかった。
『おい‥‥顔見せろよ。』
泣きじゃくる私を引き剥がすと、強引に
上を向かされ、あっという間に唇が
塞がれてしまった。
「んっ‥‥‥ッ‥‥」
目が覚めた凪とこんなことを病室で
するなんて非常識かもしれないのに、
今はただ、凪の与えてくれる熱を
いつまでも感じていたくなる
甘くて熱い舌先と、絡みつく唾液。
私を離さないと支える力強い腕に、
また涙が溢れ出す
「‥‥んっ」
『フッ‥‥そんな顔するな‥。
ここじゃ抱けねぇから‥。』
「何言って‥‥ッ‥怪我は?」
頭に巻かれた包帯と、右手に分厚く
巻かれた包帯を目にするとまた体が
震えそうになってしまう。
『大したことねぇよ‥‥。
揉み合ってるうちに切れただけだ。
頭を殴られて倒れるなんて女相手に
情けねぇ‥。』
切れただけって‥‥‥。
凪にはまだ知らされていないのかな‥。
もしかしたらうまく動かせないかも
しれないって‥‥‥。
相手が女だったから凪は傷つけれ
なかったんじゃないかな‥‥。
私は優しい凪の事だからきっとそうした
気がしてしまう。
「そうだ‥‥入院に必要なものは
持って来たから棚にしまうね。
他にも必要なものがあったら」
『お前』
えっ?
立ちあがろうとした私をまたベッドに
座らせると、頬を撫でられ凪にまた
抱き寄せられた。
『お前が必要‥‥‥。
心配であそこに1人で置いて
おけねぇ。』
凪‥‥‥
酷い怪我を負っておきながら、
それでも自分のこと以上に私を気に
かけてくれることが今はツラい‥‥
凪は才能があって、自立して立派に
生きてるのに、私なんか守られる
ような存在じゃないのにな‥‥
眠ったままだと思っていた凪が、ゆっくりと顔だけこちらに向け、私と目が合うと切れ長の瞳が細められ笑ったのだ
『皐月‥‥ここに‥来いよ‥‥』
両目はすでに涙が溢れ、瞳を閉じた瞬間
に両頬に一気にそれが流れ出す
凪が‥‥生きてる‥‥‥
もうそれだけでそれ以上に望む願いは
ないほどに胸がいっぱいなのだ
左手を伸ばす凪に向かって歩き、その手を両手で握りしめると、引き寄せられ
凪の胸にもたれかかった
『泣かせて悪い‥‥‥怖かっただろ。』
トクントクンと鼓動する凪の胸にしがみつき、涙を堪えながらも何度も頷く
怖いなんて言葉じゃ言い表せない‥‥。
それぐらい凪を失う事を考えたく
なかった。
『おい‥‥顔見せろよ。』
泣きじゃくる私を引き剥がすと、強引に
上を向かされ、あっという間に唇が
塞がれてしまった。
「んっ‥‥‥ッ‥‥」
目が覚めた凪とこんなことを病室で
するなんて非常識かもしれないのに、
今はただ、凪の与えてくれる熱を
いつまでも感じていたくなる
甘くて熱い舌先と、絡みつく唾液。
私を離さないと支える力強い腕に、
また涙が溢れ出す
「‥‥んっ」
『フッ‥‥そんな顔するな‥。
ここじゃ抱けねぇから‥。』
「何言って‥‥ッ‥怪我は?」
頭に巻かれた包帯と、右手に分厚く
巻かれた包帯を目にするとまた体が
震えそうになってしまう。
『大したことねぇよ‥‥。
揉み合ってるうちに切れただけだ。
頭を殴られて倒れるなんて女相手に
情けねぇ‥。』
切れただけって‥‥‥。
凪にはまだ知らされていないのかな‥。
もしかしたらうまく動かせないかも
しれないって‥‥‥。
相手が女だったから凪は傷つけれ
なかったんじゃないかな‥‥。
私は優しい凪の事だからきっとそうした
気がしてしまう。
「そうだ‥‥入院に必要なものは
持って来たから棚にしまうね。
他にも必要なものがあったら」
『お前』
えっ?
立ちあがろうとした私をまたベッドに
座らせると、頬を撫でられ凪にまた
抱き寄せられた。
『お前が必要‥‥‥。
心配であそこに1人で置いて
おけねぇ。』
凪‥‥‥
酷い怪我を負っておきながら、
それでも自分のこと以上に私を気に
かけてくれることが今はツラい‥‥
凪は才能があって、自立して立派に
生きてるのに、私なんか守られる
ような存在じゃないのにな‥‥