俺様同期の執着愛
 綾芽と関係を持ってわかったことがある。
 武本は綾芽を家政婦のように扱い、さらには自分の欲望を果たすために奴隷のように奉仕させていた。
 しかも、彼はバツイチ子持ちであることを綾芽に黙って彼女の心を利用していたのだ。自分の欲求を満たすためだけに。

 猛烈に怒りがわいた。
 綾芽は武本のせいで男女の行為が苦痛なものだと認識している。 

 俺と付き合ったらそんなもの忘れさせてやるし、なんならいい思いをさせてやるのに。

「恭一さん……」

 綾芽は寝言でヤツの名前を呟いた。
 正直かなり傷ついてしまった。

 綾芽はまだ武本のことが好きなのだと思い知らされた。夢にまで見るくらい惚れているなら忘れられるわけがないよな。

 今、俺が告白しても撃沈するのが目に見えている。しかし綾芽を他の男には取られたくない。だから俺は割り切った大人の関係を迫り、綾芽の意識を俺に向けさせることにしたのだ。

 今までは遠慮していたが、これからは堂々と綾芽に近づいていこうと思った。彼女の中から完全に武本の存在が消えるまで。

 で、急ぎすぎてしまった。
 気持ちがあふれて綾芽との約束を破ってしまったのだ。

「時間、戻らねぇかなあ?」

 綾芽が武本と付き合う前に。
 いや、俺が綾芽と出会った頃に――。

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