俺様同期の執着愛
「申し訳ない!!」

 私はふたりきりになりたくないので、カフェで会ったら、突然彼が頭を下げて謝罪したのだった。

「なんの謝罪ですか?」
「その……黙っていたことだよ」
「やっぱり、既婚者なんですか?」
「違う。実は離婚しているんだ。君が見たのは俺の子どもだよ」

 衝撃とともに、わずかに私の心をかすめたのは、不倫じゃなくてよかったということ。知らなかったとはいえ、奥さんを傷つけるようなことはしたくない。

「どうして黙っていたんですか?」
「それは、バツイチだって言ったら君が付き合ってくれないと思ったから」
「それ、卑怯ですよ。このままずっと付き合って私が離れられなくなってから事実を告げればうまくいくと思ったんでしょ?」
「違うよ。言おうとは思っていたんだ。いつもタイミングを逃していた」

 ああ、なんて無様なんだろう。
 三十路超えたいい大人が言い訳ばかり述べている。今まではずっとかっこつけていたのだろう。そんな彼の偽の姿に私も惚れてしまっていたのだけど。

 急激に私の中で彼への思いが冷めていくのを感じた。

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