雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「奈緒がそう言うなら頑張ってみますか。俺も傍に居るし、ずっと手を繋いでるから…」

悠翔さんの手は温かくて。その手の温もりが私の緊張を和らげてくれている。

「ありがとう…ございます。電車がきましたね。乗りましょう」

自分から手を引っ張り、悠翔さんと一緒に電車に乗った。
乗った瞬間、車内の人の多さに気持ち悪くなった。

「奈緒、席空いてるから座って…」

そう言って悠翔さんに空いてる席へ導かれた。両隣共女性だった。
きっと隣が女性の席を探してくれたのだと思う。何から何まで感謝だ。

「悠翔さん、ありがとう…」

女性が隣…ということもあり、安心して座ることができた。これなら体調も少しは良くなりそうだ。

「たまたま空いてただけだよ。座れて良かったな」

まるで自分は何も気を遣ってませんと言わんばかりの態度。
ここは知らないふりをしてあげた。悠翔さんの気持ちを汲み取ることにした。

「そうなんですね。それでも空いてる席を探してくれてありがとうございます」

悠翔さんが空いてる席を見つけてくれなかったら、今頃体調が悪化し、電車を降りなければならなかったかもしれない。
でも悠翔さんのお陰で目的地まで乗ることができそうだ。

「おう…」

照れ臭そうにしていた。そんな悠翔さんを見て、私は思わず笑みが溢れた。

「どうした?何かおかしいことでもあったか?」

「特に何もないですよ。お気になさらないでください」

私がそう言うと、悠翔さんは怪訝そうな顔をした。
この気持ちは私の心の中だけに留めておくことにした。

「そうか。分かった」

座れたのは良かったが、座ったことで手が離れてしまった。少し寂しいと感じた。
でも目的地まで三駅だ。もしかしたらまた手が繋げるかもしれないという淡い期待を胸に秘めた。
たった三駅がとても長く感じた。早く悠翔さんと手を繋ぎたいと思った。

「体調は大丈夫か?」

私の様子を確認してくれた。常に私のことを心がけてくれている悠翔さんの優しさが嬉しかった。

「今のところ大丈夫です。心配して下さり、ありがとうございます…」

「そうか。それなら良かった。次目的地だからそろそろ降りるぞ」

三駅なんてあっという間だった。先程まで長く感じていたのが不思議なくらいに…。
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