雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「味の確認をしてほしいので、今週末の夕飯を肉じゃがにしてもいいですか?」

よっぽどミスをしない限り、肉じゃがを美味しく作れる自信はあるが、悠翔さんのお友達に振る舞う前に悠翔さんに食べてほしい気持ちが勝った。
もちろん味の確認をしてほしい気持ちも本当だ。悠翔さんの好みの味ではない肉じゃがを出してしまったら、悠翔さんの友達に疑われてしまう。
少しでもバレるリスクを避けるためにも、悠翔さんに一度食べてもらうことは大事だ。

「いいよ。大好きな肉じゃがが食べられるからね」

悠翔さんは優しい。私に気を遣わせないようにそう言ってくれたんだと思う。
でも肉じゃがを楽しみにしてくれているのも本当で。私は悠翔さんの言葉に救われた。

「それじゃ週末は味の確認も兼ねて、肉じゃがにするので楽しみに待っていてください」

「うん。楽しみに待ってる」

悠翔さんの喜ぶ顔を思い浮かべながら肉じゃがを作って、悠翔さんを喜ばすことができたら良いなと思った。


           *


時間の経過はあっという間で。気がついたら悠翔さんのお友達を呼ぶ日を迎えていた。
朝から緊張していた。ちゃんと悠翔さんのお友達に会って対応できるかどうか…。

「奈緒、行ってくるな。今夜はよろしくな」

悠翔さんは自分の友達を招き入れるからか、あまり緊張している素振りはなかった。
それが羨ましいような、ずるいような…。悠翔さんの余裕を少しでもいいから分けてほしいと思った。

「いってらっしゃい。お帰りをお待ちしております」

毎朝必ず悠翔さんが仕事に行くのを見送っている。
今朝も悠翔さんを見送ったので、早速家事に取り掛かる。
今夜は悠翔さんのお友達が遊びにやって来るので、リビングを徹底的に綺麗にしておかなければならない。
掃除機を起動し、リビングの汚れを吸い取っていく。毎日掃除をしているため、そんなに汚れていないが、不思議なものでそれでも埃は発生する。
小さな汚れも見逃さずに、掃除機で吸い取り終わったら、今度はクイックルワイパーで更に綺麗にしていく。
掃除機をかけたのに、クイックルワイパーをかけていくと更に汚れが取れる。
汚れってどんなに落としても、次から次へと発生するので、どんなに掃除をしてもキリがない。
それでも定期的に掃除をしないと、汚れが溜まっていくので、ほぼ毎日掃除をするのは大事なことだ。
専業主婦の私には毎日掃除をする時間はある。少しでも悠翔さんに快適に過ごしてもらいたいから、私は毎日掃除をするよう心がけている。
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