雨はまだ降り続いている…〜秘密の契約結婚〜
「それなら良かったよ。奈緒さん、悠翔のことをよろしくお願いします」
私を信頼して、石動さんは悠翔さんのことを任せてくれた。
その気持ちに応えたい。本物の奥さんじゃないけれど、悠翔さんを支えたいと思う気持ちは本物だ。
「はい。私にお任せください。私なりに悠翔さんを支えていきますので」
「頼もしい奥さんだね。悠翔、奈緒さんを大事にしなよ」
「言われなくても大事にするよ。大事な奥さんなんでね」
“大事な奥さん”…。この言葉に深い意味なんてない。あくまで石動さんの前だから言っただけの言葉に過ぎない。
それでも好きな人に言われると、胸が高鳴ってしまう。これが本心であってほしいという淡い期待を抱いて。
「本当に大事にしろよ。じゃないとバチが当たるぞ」
「分かってるよ。絶対大事にする」
実際、悠翔さんは私を大事にしてくれている。本物の奥さんだと勘違いしてしまいそうになるくらいに。
これだけ大事にしてもらえているので、悠翔さんにバチが当たることなんてない。
寧ろバチが当たるとしたら私の方だ。こんなに素敵な人の奥さんになれただけで満足しないといけないのに、それだけじゃもう満足できなくなっている。
先程、石動さんから言われた言葉が頭の中でずっと繰り返し再生されている。“悠翔は完全に奈緒さんにぞっこん”…。
そんなことはないと何度も自分に言い聞かせているが、もう言い聞かせるのにも限界だ。そうあってほしいと望んでしまっている自分がいる。
「結婚式には招待してくれよ。俺、楽しみにしてるんだからな」
楽しみにしてもらっている石動さんに申し訳ない気持ちになった。結婚式を挙げる予定はないから。
「自分の結婚式の方を楽しみにしろよ。凌大だってもうすぐ結婚するんだから」
「楽しみに決まってるだろ。それとこれは別なんだよ。親友の結婚式を楽しみにしないわけがないだろう」
石動さんは悠翔さんを友人として大事に思っているからこそ、自分の結婚式と同様に悠翔さんの結婚式も楽しみに待ってくれている。
自分達のことを大事に思ってくれている人達のためにも、本当は結婚式を挙げたい。その方が良いと分かっている。
分かっていてもどうしても結婚式は挙げられない。この結婚が偽装結婚だから。
「確かにそうだな。俺も凌大の結婚式を楽しみにしてるし」
「だろ?だからちゃんと式を挙げろよ。じゃないと悠翔、いつか後悔する時が来るぞ」
悠翔さんが後悔している姿が想像できない。寧ろ結婚式なんて面倒くさいと思っていそうだ。
「そうだな。そのうち式を挙げようと思う」
大切な人達へどんどん嘘を重ねていく度に、心の中で罪悪感が大きくなっていく。
悠翔さんは心の中で罪悪感を抱くことはないのだろうか。こんなにも大切に思ってくれている人を目の前にして…。
日常が幸せすぎて忘れていた。周りの人を欺いた上でこの幸せが成り立っていることを…。
私を信頼して、石動さんは悠翔さんのことを任せてくれた。
その気持ちに応えたい。本物の奥さんじゃないけれど、悠翔さんを支えたいと思う気持ちは本物だ。
「はい。私にお任せください。私なりに悠翔さんを支えていきますので」
「頼もしい奥さんだね。悠翔、奈緒さんを大事にしなよ」
「言われなくても大事にするよ。大事な奥さんなんでね」
“大事な奥さん”…。この言葉に深い意味なんてない。あくまで石動さんの前だから言っただけの言葉に過ぎない。
それでも好きな人に言われると、胸が高鳴ってしまう。これが本心であってほしいという淡い期待を抱いて。
「本当に大事にしろよ。じゃないとバチが当たるぞ」
「分かってるよ。絶対大事にする」
実際、悠翔さんは私を大事にしてくれている。本物の奥さんだと勘違いしてしまいそうになるくらいに。
これだけ大事にしてもらえているので、悠翔さんにバチが当たることなんてない。
寧ろバチが当たるとしたら私の方だ。こんなに素敵な人の奥さんになれただけで満足しないといけないのに、それだけじゃもう満足できなくなっている。
先程、石動さんから言われた言葉が頭の中でずっと繰り返し再生されている。“悠翔は完全に奈緒さんにぞっこん”…。
そんなことはないと何度も自分に言い聞かせているが、もう言い聞かせるのにも限界だ。そうあってほしいと望んでしまっている自分がいる。
「結婚式には招待してくれよ。俺、楽しみにしてるんだからな」
楽しみにしてもらっている石動さんに申し訳ない気持ちになった。結婚式を挙げる予定はないから。
「自分の結婚式の方を楽しみにしろよ。凌大だってもうすぐ結婚するんだから」
「楽しみに決まってるだろ。それとこれは別なんだよ。親友の結婚式を楽しみにしないわけがないだろう」
石動さんは悠翔さんを友人として大事に思っているからこそ、自分の結婚式と同様に悠翔さんの結婚式も楽しみに待ってくれている。
自分達のことを大事に思ってくれている人達のためにも、本当は結婚式を挙げたい。その方が良いと分かっている。
分かっていてもどうしても結婚式は挙げられない。この結婚が偽装結婚だから。
「確かにそうだな。俺も凌大の結婚式を楽しみにしてるし」
「だろ?だからちゃんと式を挙げろよ。じゃないと悠翔、いつか後悔する時が来るぞ」
悠翔さんが後悔している姿が想像できない。寧ろ結婚式なんて面倒くさいと思っていそうだ。
「そうだな。そのうち式を挙げようと思う」
大切な人達へどんどん嘘を重ねていく度に、心の中で罪悪感が大きくなっていく。
悠翔さんは心の中で罪悪感を抱くことはないのだろうか。こんなにも大切に思ってくれている人を目の前にして…。
日常が幸せすぎて忘れていた。周りの人を欺いた上でこの幸せが成り立っていることを…。