鳴神くんは理想の男子? 〜本好きの地味子ですが、陽キャな後輩くんになぜか懐かれています〜
3 嫌な予感
「あ。そのマンガ、俺知ってます」
「え?」
放課後、有志の図書委員で傷んでしまった本の修理をしているときだった。
この時間まで残っているのは私と鳴神くんだけで、丸テーブルの向かいに座った彼が私のバッグからはみ出していた本を指差し続けた。
「妹が持ってて俺も読んだことあります。面白いですよね」
「わかる! めちゃくちゃ面白いよね!?」
思わず、私は身を乗り出して同意していた。
それは今大人気の少女マンガで、昨日新刊が出たばかりなのだ。
「もうホントじれったくて胸キュン止まらなくって、この新刊も昨日から何度も読み返してるんだ。え、鳴神くんはもう新刊読んだ?」
「え? や、まだ、です」
なんだかびっくりした様子で目を瞬いている鳴神くんを見て、私はハタと我に返る。
(しまった。ついオタクの性が……)