鳴神くんは理想の男子? 〜本好きの地味子ですが、陽キャな後輩くんになぜか懐かれています〜

5 雨の日


「えっ! そんなことになってたの!?」

 お昼休み。
 どんよりとした天気のせいで薄暗い教室で、菓子パン片手にいづみが素っ頓狂な声を上げた。

 ――あれから、早2週間。

「最近斗真くんとはどう?」と訊かれ、今いずみに全部話したところだ。

 お弁当の冷えた卵焼きを口にしながらこくりと頷くと、いづみは妙に納得したように言った。

「だーから鈴音、最近元気なかったんだ」
「そんなことないし。雨ばっかで憂鬱なだけ。むしろ妙なことで悩まずに済んでスッキリしたし」
「え~? てか、その1年の子たちムカつくんだけど! 完全に逆恨みじゃんね。自分たちが相手にされないからって」
「最初は私も腹が立ったけど、鳴神くんのこと本気で好きな子には確かに悪いことしてたなって」

 もっと早くにこうしていれば良かったのだ。
 そうすれば、あの子たちに絡まれることもなかっただろう。
 結局は全部自業自得だ。
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