鳴神くんは理想の男子? 〜本好きの地味子ですが、陽キャな後輩くんになぜか懐かれています〜

6 彼の秘密


「……騙したんですか?」
「騙すなんて、人聞き悪いなぁ」

 言われるまま辿り着いた場所は長く使われていなさそうな廃倉庫の中。
 そこに鳴神くんの姿はなくて、代わりに大勢のガラの悪い男たちが待っていた。

「帰ります」

 踵を返し急いで倉庫を出ようとすると鉄パイプを手にした男に遮られてしまった。

「帰すわけないっしょ」
「……っ」

 ヘラヘラと笑うその男から私が後退りすると、私をここまで連れてきた男がフードを外しながら言った。

「アンタに危害を加える気はないから安心して。俺たちが用があるのは鳴神だけだから」

 男は金髪で、短く刈り込んだサイドに稲妻のようなラインを入れていた。
 白のカラコンに大きな眉ピアスが痛そうで、そんな明らかに住む世界の違う相手を前に安心なんて出来るわけがなかった。
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