鳴神くんは理想の男子? 〜本好きの地味子ですが、陽キャな後輩くんになぜか懐かれています〜

7 最強の総長


 そのとき、一瞬視界が真っ白に染まった。
 それが稲光だとわかって、再び辺りが薄暗くなる。

 と、倉庫の入口に人影があった。
 
(鳴神、くん……?)

 直後、激しい雷鳴が轟いてびくりと身体が強張った。
 
 音に驚いたからではない。


 ――あれは、誰?


 ずぶ濡れになったその人は、私の知る彼ではなかった。
 その鋭い眼光を見た瞬間、私は生まれて初めて『殺気』というものを知った。

 微動だに出来ない。
 呼吸すらまともに出来ない。
 全身から嫌な汗が噴き出た。

 そのとき、扉の近くにいた男が鉄パイプを振り上げ彼に飛びかかった。

 危ない、という声も出なかった。

 でも彼はその鉄パイプを片手で難なく受け止めると、勢いを失いよろめいた男の鳩尾に思い切り膝蹴りを入れた。
 男は無様に涎を垂らしそのまま崩れ落ちていく。
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