救う気ゼロの大魔法使いは私だけに夢中。~「迎えに来るのが遅くなってごめんね」と助けてくれた見知らぬ美形に話を合わせてみたら~

01 見知らぬ美形

 自らへ差し出される白い手袋を嵌めた無数の手に、周囲を囲まれていた。

(……困ったわ。どうしようかしら)

 デビュー直後の貴族令嬢らしく、ふわふわとした布地で出来たモーヴ色の初々しいドレスに身を包んだサブリナは、これはどうするべきかと困り果てていた。

 礼儀作法で舞踏会では男性からしかダンスを申し込みすることは出来ないのだが、申し込まれた女性側にはダンスを断る権利があった。

 だが、サブリナはこの舞踏会には、結婚に良い条件を持つ男性と出会うためにやって来た。ここですべての手を断ることは、彼女にとって得策ではなかった。

 彼らの中の一番身分の高い男性と踊り、この場はやり過ごしてしまうことが無難だろうとは頭では思うのだ。

 集まった男たちは誘い文句を口にし、我れ先にと矢継ぎ早に話かけて来るものだから、誰かの挨拶の間に誰かがダンスを申し込んでくるといった具合だった。

 彼らは女性側から断られることなど考えてもいないような見目の良い若き貴公子で、一人一人と話すことさえ出来れば、好感を持てる男性だって居るかもしれない。

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