リアル・アクション・アプリ
家から歩いて15分ほどの場所にある丘の上に、五十嵐花子のお墓はあった。

まだ新しくできたばかりのお墓は雑草ひとつ生えておらず、今日供えたばかりに見える白い花が生けられていた。

そういえば、【R‐リアル】の指示でも白い花が出てきたことがある。
五十嵐花子は、白い花が好きな女の子だったんだろうか。

4人で並んで線香を立て、手を合わせる。
あなたの復讐はもう終わっているんです。

どうか安らかにお眠りください。
心の底からお祈りする。

五十嵐花子が生前ずっと苦しんできた気持ちも、【R‐リアル】を初めて、信頼を失った今の私なら少しは理解できる。

よりそって、その声を聞くことができれば一番いいのだけれど。
そう考えてそっと薄めを開けたときだった。

そこに異様な光景が飛び込んできて思わず声を上げてしまいそうになった。
隣の昇を見ると、昇も通常ではありえないソレに気がついたようでとまどっている。

ここまで連れてきてくれた五十嵐花子の母親がいるから、今は言えない。
私と昇は軽く目配せをして、なにも気がついていないフリをして再び目を閉じたのだった。
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