リアル・アクション・アプリ
☆☆☆
私と昇の前を沢山の医師と看護師がせわしなく駆けていく。
病院の椅子に呆然として腰掛ける私たちの手にはスマホが握られて、ついさっき届いた通知が表示されたままになっていた。
【ミス2】
知里は車に轢かれた。
それを助けようと飛び出した洋太さんも巻き添えになった。
だけどあまりの出来事に動画撮影することはできなかったのだ。
動画撮影なんて、できるわけがない。
私たちが座っているソファベンチの奥へ視線を向けると、緊急手術室が見える。
ふたりはあの大きな扉の向こう側にいる。
知里の両親にはどうにか連絡をとったけれど、洋太さんについては親族への連絡すら取れないままだった。
「いつまで続くの……」
力なく呟いて自然をスマホへ落とすと、真っ暗な画面に青白く五十嵐花子の顔が浮かんできた。
その顔は奇妙に歪んで笑っているように見える。
私はスマホを強く握りしめて自分の震えを抑えた。
私と昇の前を沢山の医師と看護師がせわしなく駆けていく。
病院の椅子に呆然として腰掛ける私たちの手にはスマホが握られて、ついさっき届いた通知が表示されたままになっていた。
【ミス2】
知里は車に轢かれた。
それを助けようと飛び出した洋太さんも巻き添えになった。
だけどあまりの出来事に動画撮影することはできなかったのだ。
動画撮影なんて、できるわけがない。
私たちが座っているソファベンチの奥へ視線を向けると、緊急手術室が見える。
ふたりはあの大きな扉の向こう側にいる。
知里の両親にはどうにか連絡をとったけれど、洋太さんについては親族への連絡すら取れないままだった。
「いつまで続くの……」
力なく呟いて自然をスマホへ落とすと、真っ暗な画面に青白く五十嵐花子の顔が浮かんできた。
その顔は奇妙に歪んで笑っているように見える。
私はスマホを強く握りしめて自分の震えを抑えた。