妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
「……あなたは大丈夫かしら?」
「……もちろん、緊張はしています。とはいえ、クラリアに会える喜びの方が大きいでしょうか?」
「君には迷惑をかけてしまったな。今回の件……いや、そもそも過去のあの日から――」
「旦那様、それは言わない約束です。それに私は、自らの人生というものに対して、後悔などしていないのです。私はただ……」

 周りにいるお兄様方は、聞こえてくる声に少し困惑しているようだった。
 公爵夫妻が誰かと話しているが、その誰かがわからないのだろう。
 しかし私には、すぐにわかった。その声を聞き間違えるはずはない。私はお兄様方の隙間を駆け抜けて、屋敷の外に出て行った。

「……お母さん!」
「……クラリア」

 公爵夫人の隣にいるのは、私のお母さんだった。
 私はお母さんの元へと一気に駆け寄り、そして飛び込んだ。そんな私を、お母さんはしっかりと抱き止めてくれた。
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