妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
「実感ですか……」
「この痕は、自分への戒めということになりそうだ。鏡を見る度に、僕はきっと今日クラリアと話したことを思い出すのだろうね」

 オルディアお兄様は、苦笑いを浮かべていた。顔に残っている今回の件の勲章に対して、今までとは違う思いを抱いているらしい。
 ただそれは、私にとっては安心できることでもあった。そうやって今日のことを思い出してもらえるなら、少しくらいは危険なことはやめてくれるだろう。

「ああそれに、この傷があるともうエフェリアの振りもできなくなったんだね」
「それはそうですね……」
「でも、それでもいいのかもしれない。僕とエフェリアは違うんだから。これから前に向かうためにも、良い機会なのかもしれない」

 そこでオルディアお兄様は、笑みを浮かべた。
 それは先程までと比べると、前向きな笑みだ。今回の件を受けて、それでも前に進む強い意思をオルディアお兄様は持っているらしい。
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