妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
 そこでウェリダンお兄様は、ナルティシア嬢とそのように会話を変わした。
 その瞬間に、空気は少し変わったといえるかもしれない。重たい空気が、燃え上がったのだ。二人とも、なんだか少し怒っているらしい。

「やはり変わっていないではありませんか。あなたはそうやっていつも、人の言葉を悪いように解釈する」
「それは、ウェリダン様の方でしょう? 冷静に見えて寂しがり屋で、打たれ弱いのですから」
「なんですって?」
「ふっ……」
「ふふっ……」

 喧嘩が始まる。そう思って縮こまっていた私は、聞こえてきた笑い声に驚いた。
 二人を見てみると、薄っすらと笑みを浮かべている。なんだかよくわからないが、空気は一気に和やかになっていた。

 それによって、私は理解した。これはきっと、二人にとってはいつものやり取りなのだと。
 つまり、ウェリダンお兄様とナルティシア嬢の友情というものは、まだしっかりと根付いているということなのだろう。
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