すべてはあの花のために①
「トーマさん。長い間、わたしの一方的な話を聞いてくださって、ありがとうございました」
「……」
「先程も言いましたが、本当にこれから行くところがあるので、わたしはこれにてお先に失礼します。でも最後に、多分もうちょっとだけ長くなるんですけど、わたしの独り言だけ話させてください。独り言なのでトーマさん全然聞かなくて大丈夫なので!」
それでは、本当に時間がないので。
「……こほん」
はあああー……トーマさんに届いたかな、わたしの気持ち。
彼の背中を、押してあげられたかな。彼に勇気を、あげられたかな。彼をちゃんと、怒ってあげられたかな。
きっと、彼も人一倍やさしい人だから、誰も傷付かないようにしたんだろうな。自分だけで十分だって。
――だからさ、それがヘタレてるって言うんですよ!
そのままでいいんですかトーマさん。みんな動いてますよ。
自分の気持ち一つ持って。自分に正直になって。……いいじゃないですか。土壇場で裏切ったって。それが自分の正直な気持ちだ。
でも、先生も負けてないと思いますよ。それにキサちゃんも。ちゃんとあなたの口から聞きたいと思います。あの子は、……アカリさんの娘ですから。
あなたも本なんか読まずに、さっさと筋トレでもして、体力もつけて、先生阻止する準備してればいいじゃないですか!
当たって砕けてしまえ! じゃないとあなただけ止まったままだ! そんなのわたしが許しません!
ちなみにわたしたちは、あなたが自分の気持ちに正直になるまで、キサちゃんのこと奪いには行かないので。言えないなら、一生罪悪感に囚われてしまえい!
「……………………」
「はあっはあ……はあ」
「……っと、葵ちゃん?」
「はあ。……っ、それじゃあまた明日! 大変失礼ぶっこきましたあっ!」