人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
第一章
第一章
「グルゥウー、ワンワンワンっ」
バックヤードで仕事をしていると犬の吠える声が聞こえた。
今受付の窓口にいるのは、小池動物病院の院長の小池(こいけ)まりえさんだ。
「お会計は……」
彼女が話し出すと犬はかなりの勢いで吠え出す。
「ワンッ、ワン!」
まりえさんは困惑した表情を浮かべているので、私が対応を変わることにした。
「変わりますね」
「お願い」
私は患者さんのご家族に笑顔を向ける。
「お待たせいたしました。今回保険を利用させてもらいお会計はこちらになります」
私は電卓で金額を患者さんに見せる。患者さんの腕の中にはプードルがぐったりとしていた。