人間が苦手なクールな獣医師が恋をして一途に迫ってきます
 普通の人なら投げ出して仕事をすぐやめてしまうところだが、由香は立ち向かっていた。
 自分からアプローチしたいなんて思う人に出会ったことがないのに、気がつけば目で追うようになっていた。
 俺は恋愛に対してかなりドライだった。父親が医者と言うだけでちやほやされてうんざりしていたのだ。命を救う仕事はしたかったけれど人間はあまり得意ではなかったのだ。
 本当は人間の医者になって同じ道を歩んでほしいと願っていた父の気持ちを踏みにじってしまい申し訳なく思っている。
 俺の生い立ちは誰にも話したことがなかった。
 休憩時間中に由香がいたので、話しかけてみると穏やかな空気感をまとっていて、それでいて俺にがっついてこない。そんな人に出会えたのは俺にとっての奇跡だったかもしれない。
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