【プロット】敏腕小児科医は溺愛彼女を離さない

あらすじ

　柚ノ木なごみは、休日出勤したあとの帰り道で、交通事故現場に遭遇する。自転車に乗った母親と、その後ろに乗った子供が、車と接触したのだ。
　なごみが親子に駆け寄ると、母親は頭を打っているが意識はある。子供はそんな母親を見て怯えていた。母親の頭をハンカチで抑えてから、なごみは子供のケアにあたる。
　なごみが手助けを求めても野次馬は集まるが、誰も助けてくれない。みな写真を撮るばかりだった。
　一人で親子二人を対処できず困っていると、人垣を掻き分けて、一人の男性がやって来る。彼は野次馬を制して、母親に応急処置をしていく。救急車が来てから、男性は立ち去っていった。
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　なごみは親がセッティングしたお見合いで、事故で出会った男性ーー小児科医の廣宮優成と再会する。
　なごみの父親は老舗おもちゃメーカー社長で、優成の父親は老舗子供服メーカーの社長だ。どうやら二人は異業種交流会で知り合い、意気投合したらしい。
　優成は「子ども好きということで気が合いそうだ」となごみに言うが、なごみは優秀な彼に気後れしてしまう。
　しかし、互いの両親が乗り気ということもあり、断りきれず、なごみは優成とお試しで交際することとなる。
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　保育園で、お見合い相手が医者だったことを同僚に話すと羨ましがられるものの、なごみは縁談に乗り気になれない。そんな彼女に、既婚の同僚は「結婚は二人でいる時の居心地の良さが大事」と言われる。その言葉を聞いて、なごみはやはり優成との結婚は考えられないと感じる。
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　それから数日後、なごみはホテルのラウンジで優成と会う。そこで彼女が保育士の仕事について優成に話すと、彼は熱心に話を聞いてくれた。なごみは優成の知的で穏やかな態度に「悪い人じゃなさそう」と思うものの、どこか遠い存在にも感じてしまう。
　帰り際、優成の知人である津山未央が現れ、なごみに対して敵意をむき出しにする。未央はなごみに「貴女と優成さんは釣り合わない」と冷たく言い放つが、優成はなごみを庇い、その手を引いて歩き去る。彼と指先が触れた瞬間、なごみの胸は高鳴った。
　二回目の顔合わせはなごみが場所を指定することになったが、保育園のお遊戯会の準備(工作)が終わらない。ダメ元で優成に手伝いを依頼すると、彼は快諾してくれた。無事に準備が終わったが、スティックのりやハサミなどを手渡す時に優成と指が触れ合うたびに、なごみは彼を意識してしまう。
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　なごみは生理痛で婦人科に通っており、そこは優成が働く病院だった。
　ある日通院で病院に行くと、なごみは院内で優成を見かける。白衣を着て颯爽と歩く彼に見とれていると、緊急事態が起きたと看護師が優成に駆け寄ってきて、彼は指示を出しながら早足で去っていく。その光景を見て、なごみは優成との心理的な距離を感じる。
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　なごみと優成はディナーに行き、そこで彼の仕事の話を聞く。学会や論文など、なごみの生活とは別世界の話を聞いて、彼女は気後れしてしまう。
　なごみは優成に、小児科医を目指した理由を聞く。すると優成は、自分が幼少期に小児病棟に入院していたことを明かす。その時、家族は見舞いに来たりしてくれたものの、家族と離れて過ごす寂しい時間も多かったという。そんな寂しさを抱える彼に、小児科医や看護師たちは寂しくないよう色々と手を尽くしてくれたのだ。その経験から、優成は小児科医を目指したのだという。
　それを聞いたなごみは、目指したとしても医者になれる人はひと握りだと思い、優成を尊敬しながらも圧倒されてしまう。
　すると優成のスマートフォンに電話がかかってきて、彼は一時退席する。どうやら病院で行われる、小児病棟に入院中の子どもがレクリエーションを楽しむ「お楽しみ会」の運営ボランティアが、一人体調不良で来れなくなったらしい。それを聞いたなごみは、ボランティアに参加することを決める。
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　お楽しみ会当日。ボランティアには未央も参加していたが、彼女はあまり乗り気ではないようだ。あまり仕事しない彼女に代わってなごみはボランティアとして懸命に働き、参加者の子どもが嘔吐しても服が汚れるのも構わず介抱する。
　しかし、あらかじめ持ってきた替えの服を未央に隠されたせいで、なごみは病院の倉庫にあったダサいTシャツを着て帰る羽目になる。
　そんな彼女を見かねた優成は、帰り道に服屋によってなごみに高級なワンピースを買う。彼が「次のデートで着てきて」と言ったせいで、「今、デートって言った!?」と動揺するなごみ。
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　その次の顔合わせで、なごみと優成はテーマパークに来る。そこで二人は迷子に遭遇して、協力して助ける。
　その後なごみは、優成に頼まれて彼の家で小児病棟に入院する子どもたちに配る折り紙を折ることになる。
　テーマパークでの一件と優成の家を訪れたことで、なごみは優成と結婚したあとの生活を思い描くことができた。
　二人は互いの思いを確かめ合い、晴れて両思いになる。
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　そんな折、なごみが交通事故で親子を助けた時の写真がインターネット上で出回る。個人情報も特定され、職場や優成との関係まで晒されてしまう。
　周囲に迷惑をかけないため、なごみは退職と優成と別れることを決意する。しかし優成は、別れ話の席でなごみを必ず守ると言って、彼女を抱きしめた。
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　優成と相談した結果、なごみは保育園を退職する。しかし退職手続きのため保育園に行った帰り、未央の父親が院長を務める病院の前に人だかりができていた。
　未央はアルバイトを雇って、インターネット上でなごみを中傷する書き込みをさせていたのだ。保育園に子を通わせる親の知り合い伝いにそれが発覚し、人々が病院に押しかけていたのだ。この件はインターネット上で拡散され、大炎上を巻き起こした。
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　事件から一ヶ月後。未央は実家を追い出されて、親戚に養子に出されて礼儀作法を一から躾られることになった。
　なごみは優成の働く病院の院内保育所に就職して、再スタートを切る。
　仕事を終えたなごみは、婚約指輪をはめて優成の元へかけて行った。

終