無口な彼の内情を知ったら、溺愛されるようになりました……!?
お忍び観戦
♡♡♡
一週間後。
この辺りで一番大きい武道場にやって来た。今日はここで、全国大会出場の権利をかけた試合が開催される。緑谷くんには、来るなと言われたけれどーー応援したい。ウチの学校の空手部は、毎年全国大会へ出場している。
あれから色々と考え、必ず勝てるという自信があるから、来なくて良いって意味だったのかなとも思えてきた。
「それじゃあ、畠山さん。帰る時は連絡しますので」
「近くで待機しておりますので、いつでも呼びつけて下さい」
雲一つない快晴な空。車から降りると、元気に鳴くセミの声と全身に強い日差しが当たる。
「あっつ……」
ものの数分で汗が吹き出してきた。武道場の中へ入ると、外の暑さに負けない熱気で満ちていた。
試合は既に始まっており、白熱していた。
入ってすぐ右側に、【個人戦結果】と書いてあり、トーナメント表は、既に書き込まれていた。
「あっ。緑谷くん」
表の中で、彼の名前を見つけた。名前の上には銀の花飾りが付いてる。
これはーー何だろう。
そう思っていると、他校の生徒達がトーナメント表を見に来た。
「やっぱり優勝は、鹿島かー」
「そりゃそうだろ。この辺の空手部じゃ、一番強いだろ」
ーーそうなんだ。
鹿島、という人の名を探すと鹿島 祐介と書かれた名前の上に金の花飾りがついていた。